クリーム

娘よのクリームのレビュー・感想・評価

娘よ(2014年製作の映画)
3.6
若干展開がご都合主義だけど、ハラハラする緊張感が続き最後まで目が離せませんでした。また、普段見る事のないパキスタン山間部の見事な風景も新鮮。1999年に母娘が逃げた実話に基づいて、監督が書き上げた話だそうです。
パキスタン、インド、中国との国境付近のカラコルム山脈。アッララキは、パキスタン山間部の部族長ドーレットに自身も15歳で嫁ぎ、10歳になる娘ゼイナブがいます。部族間の報復合戦が続き、相手側の老部族長を訪ねたドーレットは、和平の交換条件としてまだ幼い娘を彼に嫁がせることを受け入れるのだが…。




ネタバレ↓




児童婚は、部族間の争いを止めるためや、支配的立場の男性の引退時にご褒美として行なわれる事が多々あるそうです。相手は初老だったりするのですが、少女に拒む権利などありません。オエーッ!!!な世界。
アッララキは、私のストーリーは15歳で嫁いで終わったと話ていました。まだ10歳の娘にそんな思いはさせられないと決死の覚悟で、逃走するのですが、長い事あの迷路の様な家に閉じ込められた生活なので考えが甘いと言うか浅い。未開の山岳·砂漠地帯で隠れる場所もなく、捕まれば殺される。なのに2人の緊張感が薄くて逆にハラハラした。あのトラック運転手に会うのは奇跡だし、ロマンスなんて、あり得ない。この辺からご都合主義なんだけど、アッララキが美人だから助けて貰えた気がする。普通の母娘が、逃げるのは至難の技。ただのラブストーリーではなく、伝えたいテーマは、児童婚や虐げられ続ける女性達の話なので、何か違和感でした。
ラストも一度は死にかけたけど生き返ったアッララキ。敢えて希望を持たせたラストだろうけど、待っているのは悲惨な死だろうと思う。部族間の争いの緩和材として幼い少女がモノの様に扱われる現状は、やはり観ていて辛過ぎる。重いテーマの映画でした。
にしてもパキスタンの女性の衣装が派手なのに驚いた。アッララキが逃亡する時、何でそんな目立つ格好で逃げる?って思ったんだけど、他の女性達も年寄り以外はド派手だった。そして、逃走に使ったトラックは、度肝を抜くド派手さ。もう芸術的。
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