いまおかしんじ監督作品にハマり、TSUTAYAの宅配レンタルで鑑賞。
失踪した女性の捜索を依頼された探偵・古井栗之介。
事件の謎を追う彼だったが、「あなたにHIVに感染させてしまった」と語る元カノが現れて……。
いまおか監督作品としては、珍しく『れいこいるか』と同じく、ピンク映画に入らない近年の一作。
元ネタの『ロング・グッドバイ』を観ていないのにも関わらず、ちゃんと面白いという中々の名作。
(原作が面白いのか、はたまた、いまおかさんがスゴいのかは分からないけれども。笑)
個人的傑作『東京の恋人』の森岡龍さんが、同じく主人公を務めているので、姉妹作という印象で観ていたのも良かったかも。
(ちなみに、『東京の恋人』には、いまおかしんじ監督が登場しており、逆に本作では、その監督の下社さんが音楽を担当、そのほか、どちらにも同じロケ地が登場していたりする。)
ごく自然な演技でおかしな行動をとるキャラクターを俯瞰で撮っていたり、邪魔にならない程度で小ネタを挟んできたり、良い意味で肩の力が抜けた諸々の演出が好みでしかなかった。
「やなこった」というセリフの反復から起きる気持ちよさとか、主人公と他者との関係性が、いちいち心地よく、ずっと見ていたいほどに愛おしい時間だった。
斬新な死者の回想など、監督が楽しんでいる演出も、所々、垣間見え、作り手としての姿勢としても、学ぶ部分は多かった。
<<エログロおバカメーター>>
エロ ☆×3.0
グロ ☆×0.0
バカ ☆×4.0
・エロポイント
そういうシーンはないのにも関わらず、元カノと主人公の関係性に、それに優る愛しいものがありましたね。
かなり際どい会話をさらっとしちゃう辺りとか、二人の魅力が十二分に発揮されているからこその快活さが素晴らしかったですね。
・おバカポイント
主人公と行動を共にするオカマも、おバカキャラといったら、そうなんですが、その魅力で、後半のホロリとする展開が、際立っているのが良かったです。
最近、仕切りに泣かせようとする邦画が多いんですが、やっぱり、 適度なユーモアがないと、個人的には全く泣けないんですよね……。
古典の名作しかり、コメディ要素は一番難しいものの、上手く描けていれば、かなりの完成度が上がるもので、本作は、その部分を、余裕でクリアしていたのが素晴らしかったです。