ぽち

BPM ビート・パー・ミニットのぽちのレビュー・感想・評価

2.0
各賞を受賞し世界的に評価の高い作品だが・・う~ん。
可哀想な人々が不正に立ち向かうと言う図式なのだろうが、どうにも違和感をおぼえる。

HIVのおもな感染経路は性的感染、血液感染、母子感染で、輸血などの不可抗力と母子感染以外は自己責任って気がする。

作中でも言っていた「無知が原因」である事は間違いないのだが、政府の政策に原因を求め、攻撃の矛先を向けるのはいかがなものだろうか・・・・

過激な抗議行動も死物狂いだと分かるのだが、理解と協力を求める相手である一般人は不快感の方が強いのではないだろうか。

出資して薬を作らせているのなら分かるが、作ってもらっている立場での暴挙はアリなのか。
パーティーで食べ物の上に遺灰をまくってのは目をそらしたくなる。確かに出席者に嫌な思いをさせる事は出来るが、会場のスタッフや料理を作った人がかわいそう、って思うのはあまりに日本的だろうか。

そして監督の訴えたいことが今ひとつ理解できない。
エイズ患者の実態を訴えるにしては描いた年代が古すぎ。調べてみると分かるが現在は90年代のような事は無く、どうすれば感染するのかハッキリ分かっているので、差別も完全にとは言わないが無くなっているし、死亡率は早期に治療を開始すれば健常者と変わらないそうだ。

結局昔話でしかなく「昔は抗議活動で大暴れしたもんだ」って感じのDQNの武勇伝とあまり変わらない気がする。

きつい言い方かもしれないが、個人的にはノイジーマイノリティーにしか見えない。
いきずぎたマイノリティーの要求はマジョリティーの犠牲を伴う事を忘れてはいけない。

映画としては感動作を狙っているが、上記のような事を考えてしまうと白々しく見えてしまい今ひとつだった。
せめてもの救いが、見たくも無い野郎同士の絡みが画面が暗くてよく見えなかった事だろう。
ぽち

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