広島カップ

橋のない川の広島カップのレビュー・感想・評価

橋のない川(1969年製作の映画)
3.5
被差別部落問題を扱った住井すゑの原作に忠実に同問題を真正面から捉えているので、醜く汚い差別のシーンがバンバン出て来ます。

日常的に身近にあると感じるイジメや村八分思想については私もそうしたものに直面した経験もあるので、何故そうしたものが日本にはあるのだろうか?という興味は以前からありました。
私は同和問題に対して深くは理解していないので本作でその源流について、何故この問題が発生したかについて知りたかったのですが、その辺りについては不明のままに終わりました。

えった※を演じた北林谷栄と近藤雄之助がド迫力の演技。
彼らは差別されても決して負けない。たとえ当局に差別されても卑屈にならず断固立ち向かう。
小さな北林が孫が差別されている学校に直々に乗り込んで行って校長に正面から噛み付くし、深夜の新橋駅前にも居そうな目が据わった酔っ払いのオヤジを演った近藤が、酔っ払った故に本音丸出しで差別に対して戦う姿は、問題の根深さを赤裸々に表現していて見事だった。

※映画ファンにはお馴染み?ですが名作『明日に向かって撃て!』(1969)でキャサリン・ロスが演じた女の名前はエッタ・プレイスといいますが、日本では被差別部落民の事を"えった"と呼びます。
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