TAK44マグナム

エスケープ・ルームのTAK44マグナムのレビュー・感想・評価

エスケープ・ルーム(2019年製作の映画)
3.5
ようこそ、殺人脱出ゲームへ!


古今東西、一風変わった映画を集めて上映する「未体験ゾーンの映画たち」の前夜祭として先行上映されたのを鑑賞しました。
アメリカではスマッシュヒットを記録して、既に続編製作が決定しているそうです。
その中身はズバリ、「立方体の部屋に拘らない「CUBE」のフォロワー作品」。
「CUBE」はヴィンチェンゾ・ナタリ監督の出世作ですね。
様々な罠が仕掛けられた立方体の部屋をいくつも攻略して脱出するスリラーでしたが、本作も大筋ではそんな似た様な感じを踏襲しています。


謎の招待状を受け取った、年齢や性別、職業も違う6人の男女。
彼らはクリアすれば1万ドルの賞金がもらえるという脱出ゲームに参加する。
待合室でゲームのスタートを待っていると壁や天井が高温を発するヒーターに変わり、部屋は灼熱地獄と化してしまう。
既にゲームが始まっていることを悟った参加者たちは部屋から出る為に必要なヒントを探すのだが・・・


(まさか殺人も辞さないとは思ってもみなかったにしても)参加者が自ら脱出ゲームに挑戦しにやって来るわけで、「CUBE」の様にのっけから全てが五里霧中という事は無いのですが、最初は普通のゲームだと思っていたのが命の危険がある殺人ゲームだと気付かされるに至って、
「誰が何のために殺人ゲームを仕掛けたのか?」
「何故、この6人が選ばれたのか?」
「ゲームはどうすればクリアできるのか?」 
等々の疑問が生じ、それが全編を引っ張
る推進力になっています。
それらの疑問に対するアプローチや答えが魅力的なら作品の質が向上するのでしょうが、これがまた本当によくある答えだったので些か拍子抜け。
メンバー選びの基準については「なるほど」と肯けるものがありましたけれど、まず各部屋の謎解きそのものがあまり工夫がなく面白いとは言い難いです。
スマホアプリの脱出ゲームっぽい。
昔なら、アドベンチャーゲームでよくあったやつですね。
例えば、ドアのノブが無い→ノブの代わりを見つける→ノブをとりつけるネジをゲットする、みたいな。
部屋は灼熱地獄や寒冷地獄、高所や毒ガス地獄とヴァラエティには富んでいますが攻略法そのものよりも、爆発したり、部屋なのに氷の湖になっていたり、だんだんと床が抜けていったりという派手なビジュアルで魅せるタイプの、頭脳派というよりは肉体派な脱出ゲームと言えるでしょう。
最後の攻略法も「◯◯なんとかの法則」を参考にしながらも結局は力技でしたし(汗)。
終盤はかなり雑な展開で、「え?頭脳派なはずなのにけっこう過激なのね」とか、「どうやってそれ助かったの?」みたいに正直よくわからないところもありました。
細かい部分が気になる方には合わないかもしれませんね(汗)
なんだか「メイズランナー」とかと同じような路線かも。
最大の謎ともいえる「ゲームの黒幕」についても、ドがつくほどの定番直球勝負で逆に驚かされましたよ。
誰もが真っ先に思いつくヤツ(苦笑)。

続編を意識したエンディングは面白かったです。
ビルの中なのに凄い大掛かりな部屋ばかりでアホだなぁ〜と思っていたら、エンディングで明かされる「ゲームを円滑に進めるための事前準備」が本当にバカバカしくて愉快でした。
とにかく費用も労力もけっこう掛かっているゲームなんですな〜。

(物語として)これといって何の捻りもないのが勿体ないですけれど、こういったデスゲーム系が三度の飯より好きだ!という方ならオススメできるかと思います。
因みに、個人的には高所地獄が1番見どころが多かったですね(反対に作品全体の掴みとなる最初の灼熱地獄は暑くて死にそうな雰囲気が全然無くてダメ)。
あそこだけ 3Dで観たい気もしました。


劇場(ヒューマントラストシネマ渋谷)にて