すな

ペトルーニャに祝福をのすなのネタバレレビュー・内容・結末

ペトルーニャに祝福を(2019年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

面白かった。
リポーターによって女性の権利の問題として取り上げられるが、ネットや世論に大きな反響を与えて、その結果勝利を勝ち取る、というサクセスストーリーではない。

単なる闘争と勝利の物語というのではなく、石を投げて広がる波紋を、石が中央からじっと眺めているような印象だった。

逆上する祭り参加者の男たち、世間体を気にして罵る母親、十字架を取り返そうとする警察、伝統や規則を重んじる司祭、女性の権利を主張するリポーター、無関心な市民。

印象的なのは、登場するのは殆ど関わりのある人間だけで、無関係な傍観者の意見は殆どない。テレビやネットで見ている大衆としての視聴者の見解は殆ど描かれていない。

利害関係のある関係者はそれぞれの意見を口にして立場を表明するが、それに対する総合的な評価は明示されていない。
この問題提起に対して、映画の視聴者たちはどう見るか、という話なのかもしれない。

しかし十字架を手放すラストがある。
司祭や男たちには必要で、自分にはいらないというペトルーニャ。
十字架が男社会の中で認められた価値や権威の象徴であるとしたら、それを男たちに認められて取り返したところで、自分には必要のないものだったと突き返すのには痛快さを覚えた。
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