Damian

82年生まれ、キム・ジヨンのDamianのレビュー・感想・評価

82年生まれ、キム・ジヨン(2019年製作の映画)
3.9
原作の伝記的な内容を映画ならではの表現で綺麗にまとめており、とても見やすい印象。
逆に言えば原作にある韓国ジェンダーの史実や読み終わった後の絶望感は比較的マイルドに描かれているため、是非理解の補完としても原作とセットでの鑑賞をオススメする。

自分は独身男性、なおかつセクシャルマイノリティであるため、途中までは母や姉、そして女友達など身近な女性にジヨンを重ねながら観ていた。
でも、これは果たして女性のためだけの物語なのか?
この映画に登場する男性は基本的に女性蔑視が根本にあるキャラクターが多く、一見男=悪としても捉えられかねないのだが、一方で男性が社会や親にそうした考えや役割を植え付けられてきたのも事実であり、そういう意味では男性だって解放されるべき側面はあるはずだ。
我が身を振り返り何とも情けなくなることも多いと思うのだが、そうした気づきも含めて是非男性にこそ観て欲しい映画である。

確かに時代は少しずつ変わっている。
ただ私たちがこの作品に希望を見出す裏側に、今よりもまだ社会がガチガチに縛られていたあの頃、懸命に歯を食いしばり、娘に自分と同じ思いはさせまいと戦った女性たちがいたことは忘れないでいたい。
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