イチロヲ

(生)盗聴リポート 痴話のイチロヲのレビュー・感想・評価

(生)盗聴リポート 痴話(1993年製作の映画)
4.0
右の乳房に傷がついている状態で出生した女性(伊藤清美)が、盗聴屋の仕事を請け負いながら、虚実不明瞭な精神世界を泳いでいく。訳あり女のサイケデリック体験を描いている、新東宝配給のピンク映画。獅子プロダクション製作。

盗聴器、ビデオドラッグ、ポラロイド写真など、虚実の狭間に落ちたヒロインのイメージを開示しながら、パズルの答え合わせを鑑賞者に委ねてくる。良くも悪くもピンクから逸脱した、純然たる佐藤&夢野ワールド。

富士通「FM TOWNS」を愛用する精神不安定なヒロインが、精神医療に詳しい同僚(今泉浩一)、事故で植物人間となった相棒(伊藤猛)、さらに相棒の妻とその不倫相手を介しながら、出生の秘密に近づいていく。

幻惑的かつ観念的なイメージの連鎖になっているため、ピンクの枠内で鑑賞すると多分に困惑させられる。だが、「ヘンな映画を観た」という余韻が残るため、その時点で成功とも捉えられる。個人的には擁護したい珍品。
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