センター分けのましゅちゃん

パラサイト 半地下の家族のセンター分けのましゅちゃんのレビュー・感想・評価

パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)
5.0
パラサイト半地下の家族
第72回カンヌ国際映画祭で
韓国映画として初となる
パルムドール賞受賞の
快挙を成し遂げた作品。
監督ポンジュノと主演ソンガンホが
四度目のタッグを組む。
【story】
全員が失業中であり、
貧しい暮らしを続けていたキム一家の
長男・ギウは、
友人からの薦めで
IT企業のCEOを勤めるパク氏の豪邸で
家庭教師と働きはじめることになる。
またギウの妹・ギジョンも
その豪邸に面接を受けるべく
足を踏み入れる。
全く正反対の2つの家族が
交わる時、
ひとつの豪邸を舞台に
物語は思いもよらぬ方向へと
加速していく...
【review】
韓国映画としては
初となるカンヌ国際映画・パルムドール賞受賞作となった本作。
上映時間2時間10分、
とにかく息をつく暇もなく
まばたきをもさせぬほど
物語は加速に加速を続ける。
全く正反対の
異なる二つの家族の形。
ある一方の家族の構造の中に
もう一方の異なる家族の要素が
介入した時に織り成される
ユーモアな調和と
惨虐な不協和音。
全く異なる2つの家族の邂逅は
序盤、その僅かな齟齬が
ユーモア性を放ち、
思わずクスリとするほどに
アンバランスながらも
絶妙な調和をもたらす。
それだけでも十分に楽しめる作品に
なりそうだが、
無論、今作はそれでは終わらない。
序盤にユーモアとして
笑い飛ばせた僅かな齟齬は
思わぬところで
徐々に隔たりを拡大し、
ひとつの豪邸に
少しずつ不協和音の足音が
忍び寄りはじめる。
中盤から終盤にかけて
鑑賞者も少しずつ、
その"隔たり"に気づき始め、
物語は序盤のユーモア性な調和を
失いはじめる。
やがてその"隔たり"は
大きな"ズレ"をもたらし、
物語は結末へと加速していく。
何度も何度も色や形を変えながら
変則的に進んでいく
ストーリーは
理屈やメッセージを抜きにして
ただひたすらに"飽きない"。
前年度パルムドール受賞作である
万引き家族とは
"貧しさ"の中に生きる"家族"の形を
描くという意味では
似ている側面を持つが
万引き家族にはなかった
他の家族への強い羨み、妬みが
より強く描写されており、
またキム一家とは対照的なパク一家を
じっくりと描写することで
キム一家の貧困と生活の違いが
よりリアルに鮮明にあぶり出される。
誰しも他人と自分のステータスを
比べれば、
どこかの点では
そのパラメータの差に
嫉妬し、
"コンプレックス"を抱くもの。
その"コンプレックス"は
抑制できなくなれば
やがて互いの人生をも
大きく狂わしかねないほど、
危険な渦になる。
今作のキム一家は
彼らの"コンプレックス"が
パク一家の形として
非常に日常生活と
近い場所に存在している。
目の前で
どんどん大きくなり、
膨張していく"コンプレックス"が
いつ爆発するのか、
いつ彼らを動かすか、
ユーモアな調和を
いつ狂気の不協和音が
かき消してしまうか。
徐々に忍び寄る音に
冷や冷やがとまらない。
2020年一発目から
ものすごいものをみせつけられた。
非常におススメです。
ぜひ劇場で。
【評価】
ストーリー☆☆☆☆☆
演出☆☆☆☆☆
映像・迫力☆☆☆☆☆
上映時間☆☆☆☆
BGM☆☆☆☆
総合☆☆☆☆☆(満点)/5
2020年一発目は
この作品からでした...
この作品を1本目に選んで
正解でした。
すごかった。