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見えない目撃者のnanonononのレビュー・感想・評価

見えない目撃者(2019年製作の映画)
4.4
スリラーというジャンルはあまり馴染みが無いのですが、犯人は誰だ⁈という謎解きが、純粋に面白く楽しめた。
グロテスクな傷口の描写、まさに凄惨な事件現場が展開されるため、血を見るのがダメな人は覚悟しておくべき。多分ノーカットで地上波放送は出来ないレベルだと感じた。そもそもR15だった…。
とはいえ、最初はちょこちょこ笑えるシーンもあり、そうやって観る人を登場人物に感情移入させてから、どんどん緊張感を高めていき、クライマックスへ持っていく、手に汗握る展開。最後はジェットコースターに乗り終えた様な、心地よい疲労感と、安堵感があり楽しめた。もう一度観たい。

目が見えない主人公なつめ役の、吉岡里帆さんの、憂いを帯びた瞳が美しかった。
優秀な警察官候補だった事や、冴え渡る五感から展開される推理、小柄な身体を目一杯使って盲導犬と共に街を巡り、捜査する姿に、どんどん応援したい気持ちになる。

なつめと共に事件を追う高校生、高杉真宙さん演じる春馬も良かった。
最初はスケボー以外何にも執着しない孤独な様子から転じて、実は優しく人懐こさのある普通の青年を好演していた。
なつめに影響を受けて、変わっていく美しい青年は、グロテスクな展開の中、心地よい清涼剤となった。

そして何より脇を固める俳優陣の存在感。田口トモロヲさん、大倉孝二さんでなければ、あの展開に説得力やスリルを与えられなかったのでは無いか。2人の絶妙な刑事達にも注目したい。

劇中の音楽にも美しさを感じた。フルートだろうか、物悲しく、更に悲劇を感じさせる音調が似合っていた。


以下ネタバレ




マイナスの理由は
犯人が分かってから、解決するまでの当にスリラーな展開に馴染みがなく、ハラハラしつつも警察まだ来ないのかな?なんでそこで待てないの?というツッコミを入れてしまった点にマイナス0.3
(多分スリラー好きはその不合理も含めてドキドキ出来るのかもしれない)

さらに知人の20代女性が鑑賞後、涙を流すほどにグロテスクな傷、血、犯行の描写がショッキングなので、観る人を選ぶ事は間違いないのでマイナス0.3

総じて面白かった。
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