福みみ

生きるの福みみのレビュー・感想・評価

生きる(1952年製作の映画)
3.9
「生きる」タイトルの意味を考えながら鑑賞。役所で市民課長の主人公(志村喬)はある日、胃がんに冒されていて、余命幾許もない事を知る。それまで事勿れ主義の役所のルールに飲み込まれてしまっていたものの、日々一生懸命働くことに活力を見出そうと生まれ変わり、役所の垣根を越えて婦人会からの陳情である公園づくりにまさに執念を燃やす。
 人は死期が近づくと見るもの全て美しく見えるというが、ある日の美しく見えた夕焼けはそれを暗示していたのかも。
 その後、公園は無事完成したものの、主人公はその公園で死を遂げます。
その葬式であの公園は誰が作ったものかの議論がそれぞれの立場から思い出を交えながらかわされていくところが見どころ。
 志村喬って人は目の光で演技する人でした。白黒映画がよりその事を演出していました。
 人間、生前に成し遂げた内容や周りから愛されていたかどうかが葬式でわかるものなんだなぁとつくづく感じました。
 人は生きるために何度でも生まれ変われるのだと思いますが、死に物狂いの必死さが必要なのかもしれません。
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