うたまるさん

ビーストのうたまるさんのレビュー・感想・評価

ビースト(2018年製作の映画)
3.2
以前から観たかった作品。
と、いうのもこの作品のDVDを手に取ったときに、フランス映画「あるいは裏切りという名の犬」という作品のの韓国アレンジ版との見出しを見たため、それならまずはフレンチノワールの「あるいは…」から観ましょうと、お預け状態だった作品。
さぁー、それではその待望の一作を観てみることにしましょう。

本家である「あるいは…」は、フランスノワールの巨匠オリヴィエ・マルシャルが実話をもとにした作品ではあるが、今作品はその作品を「さまよう刃」のイ・ジョンホ監督が翻案した作品のため、完全フィクションとなる。

ストーリーは、本家同様に連続凶悪事件(あるいは→強盗事件、ヴ―スト→バラバラ殺人事件)を追う同一警察署内の2つの班を率いるそれぞれの班長のライバル関係の物語。
どうしても今作品を見ながら頭の中で本家の作品との類似点相違点を探してしまい、序盤はあまり集中できないが、前半はおおむね同じような展開で進んでいく。

とは言え、さすがは韓国ノワール。本家のフレンチノワールとはコンプライアンスの違いを見せつけるかのように損壊された遺体などグロいシーンも出てきます。

本家の「あるいは…」は周りからの人望も厚いダニエル警視と、陰湿で出世欲の強いクラン警視が対照的で対立軸がはっきりしているので見やすかったところもあったのですが、今作品「ヴィ―スト」においては中盤以降、二人の班長の足の引っ張り合い感が強く、本来規範的な行動をするものと勝手に考えていたイ・ソンミン演じるハンス班長が人を殺したり、死体遺棄までしちゃったり、証拠改ざんにまで手を染めたりします。一方ユ・ジェミョン演じるミンテ班長も負けず劣らずで、裏工作をしてハンスを陥れたり、捜査ルールを破って勝手な行動をとり、結果的にハンスの部下を死に追いやったりしていて、客観的に見てどっちもどっち、いやむしろ韓国警察の失態ばかりが目につきます。まあ、その点については他の映画でも韓国警察は優秀ではないという見せられ方をしていますので。いつものパターンとも言えるかもしれませんねwwww

終盤に差し掛かってきてからも、あえてこの人は殺さなくても…なんてことや結末はこうなっちゃうのか…なんてことが盛り沢山で、私の中では本家の「あるいは裏切りという名の犬」の圧勝というのが感想です。
そうは言っても百聞は一見に如かず、気になった方は是非とも両作品を見比べてみてね。
うたまるさん

うたまるさん