まーしー

ガンズ・アキンボのまーしーのレビュー・感想・評価

ガンズ・アキンボ(2019年製作の映画)
3.5
ネット上では強気な書き込みをするも、日常生活では冴えない男性プログラマーのマイルズ(ダニエル・ラドクリフ)。
ある時、殺人ゲームを生配信する闇サイト「スキズム」の標的となり、気が付けば両手に拳銃が装着されていた——。そして、「スキズム」で殺しを繰り返す女性ニックス(サマラ・ウィーヴィング)との戦いを強いられることに——。

まるでゲームの世界に没入したかのような錯覚を覚える映画。
作り手も意識しているのか、テンポよく銃撃戦だけが続く。
ところどころ、マイルズと元恋人のロマンスめいた味付けはあるものの、基本的には主人公vs女殺し屋の構図。どこか気弱でドジなマイルズを、サイコパス感の漂うニックスが追い詰めていく。

とは言え、タイトルの「二丁拳銃」が意味するような、ハードボイルドな雰囲気は皆無。
パンツ一丁で逃げ出すマイルズや、下品な言葉を連発するニックスからは、むしろコミカルな様子すら伺える。
まさにゲームのような、遊び心に満ち溢れた作品だろう。

マイルズvsニックスで始まった物語も、終盤は思わぬ方向へ。ここに、ネット社会への皮肉も感じ取ることができる。
主人公マイルズは、実社会とネット世界でのキャラクターにギャップがある人物。マイルズに限らず、我々も多かれ少なかれギャップを抱えていることだろう。
そのギャップを問題提起し、「それほど目立ちたいなら実社会でも目立たせてあげよう」と言われているようにも感じる。強気な発言を繰り返すネット民への警鐘とも言えるのではないか。

ハリー・ポッター役のイメージが強いダニエル・ラドクリフが、こうも情けない姿になったのは良き。イメージ脱却を図ることに成功し、今後のキャリアに繋がることを期待したい。