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ラ・ジュテのazitarouのレビュー・感想・評価

ラ・ジュテ(1962年製作の映画)
3.9
上質な短編小説のような味わい。静止画の連続で紡がれる物語からはSFによくあるガジェットのひとつも見つからないが、様々な時間軸に送り込まれる男とある女の邂逅だけが人間味を感じられる。中でも剥製博物館での一幕(という名の写真の連なり)は台詞もなしに喜びや自由、開放を表現しておりめちゃくちゃ良い。基本静止画だがそのおかげで作中唯一の動画部分が非常に際立っており、まったく何気ない動作であるのに鮮烈に印象に残る。

決してエンタメ作品ではないが、始まりから終わりまで円環を成した顛末でもって名作だと言わざるを得ない。良かったです。
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