滝井椎野

ファースト・カウの滝井椎野のレビュー・感想・評価

ファースト・カウ(2019年製作の映画)
4.1
アメリカン・ニューシネマ的な哀愁が漂う作品。
染み入るようなラストに観終えたあとは思わず溜息が出た。

二人組がミルクを盗んで作ったドーナツを売るというシンプルなストーリーで、実際それ以上も以下もないのだが、美しい自然描写や終盤の緊迫する展開等とても満足度が高い。
何より、この二人組の友情描写が良い。
ふとした日常シーンなんかでの会話や、最後ヤバイ状況になっても片方だけ逃げることなく肩を貸し借り一緒に逃げる辺り、本当に気の合う友人同士であるというのがよく分かる。

最初のシーンから結末が提示されている訳だが、それが最後のシーンをより趣深いものにしている。
実に静かに夢が終わるが、それが決して無かったことにはならず未来へと繋がっていく。
とても良い作品だった。
滝井椎野

滝井椎野