滝井椎野

キラー・ナマケモノの滝井椎野のレビュー・感想・評価

キラー・ナマケモノ(2023年製作の映画)
-
最後までふざけ倒した傑作B級映画。
ナマケモノのクオリティが絶妙に雑で、それ故どんな雑な展開でも許せてしまう。

この手の映画の賢いのが、暴れるモンスター側に対して、主人公たちの知能を下げることで良い勝負にするところ。
今回も人より少しだけ賢いナマケモノを普通よりも馬鹿な登場人物たちにぶつけることでナイスなバトルになっていた。

本作、一番の見所はやはりナマケモノの可愛らしさ。
華麗なるドライビングテクニックを見せたり洒落たグラサンでイキリちらしてみたりと憎めない陽キャ感を醸し出しており、それでいて信号をしっかり遵守する真面目さも併せ持つという人気ものになる素質をバッチリ備えているのが実に良い。
人を襲う際、SNSでちゃっかり作った『キラーナマケモノ』というそのまんまなアカウントでバズ狙いの報告を上げているのが、雑に取って付けたような設定でたまらない。

そんな魅力的なナマケモノ、戦闘面も素晴らしく、日本刀で刺された上で銃弾を何発もくらってピンピンしているタフさや、まるで画面外から投げつけただけのような雑なスピード感、シャワーゲームという謎の遊びをしている女子大生たちを感電死で一掃するという女子大生が馬鹿なのかナマケモノが賢いのか分からない頭脳プレー等が面白い。
最後はこれまた取って付けたような帰郷願望を覗かせる「ホーム……」というまるでETのような言葉を残してやられるのも味わい深い。
もちろん、ナマケモノ以外のキャラもの絶妙に頭が悪くて良いキャラをしている。

我々がこの手の映画に求めているものがばっちり詰め込まれていて素晴らしかった。
滝井椎野

滝井椎野