スティーヴン豆腐

辰巳のスティーヴン豆腐のレビュー・感想・評価

辰巳(2023年製作の映画)
3.7
後藤ちゃんお人好しすぎ!

監督の前作『ケンとカズ』は全然ピンと来なかった(※)んですが、8年も空いたとは思えない程、映画が巧くなってた。
人間関係の深掘りやツイストなど贅肉となり得る要素を一切排除したシンプルなプロット故に粗が出にくく、息をもつかせぬ108分。本作の推定予算規模を考えれば最適解だろう。そんな中でもロケーションに拘ることでスケール感を演出する工夫に好感。この点は前作とは対照的だ。(流石に腹を刺された状態で磐梯吾妻スカイラインから横浜福富町への長距離移動は無理があるか🤔?)

だが諸君、邦画ファンにありがちな、稀に出てくるダークホース的な快作を過剰に持て囃すことは止めて欲しい。本作を以て「ジャパンノワールが韓国ノワールに並んだ!」と快哉を叫ぶにはまだ尚早。小路監督ほか『夜を走る』『Sin Clock』『罪と悪』などを近年送り出した新鋭クリエイター達によって新たな潮流が生まれ、大きなうねりになっていく事を願いましょう。制作費僅か650万円で『キュクロプス』を撮った大庭巧睦監督の新作はまだか~?

※東京から目と鼻の先、新小岩まで10分足らずの千葉県市川市では「地方の閉塞感」にリアリティが…