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Swallow/スワロウのFMLのレビュー・感想・評価

Swallow/スワロウ(2019年製作の映画)
3.0
孤独感とか、劣等感とか、
そういう負の感情をどのような形で
発散させるか、または消化するか
爆食いしたり、髪の毛を抜いたり、
拒食になったり、暴言や暴力に走ったり
多分色々あると思うけど、彼女は
異食症という形で自分が
特別な人間であるという高揚感を得た。

金もあって、時間もあって、
良い家に住んでる
何もかもあるように見えるけど、
実は何もない。
"自由な時間"というより、
"何もすることがない"
"何をしたらいいかわからない"だけ。
自分に何ができるのか、
自分には何が合うのか
それすらもわからない。

生きることのつらさ、
環境に馴染むことの難しさ
周囲の人たちに合わせることも、
自分と他人(の意見や考え)の比率を
どのように保つのか
異食症は彼女を蝕む闇の一部分でしかなく、
実際はもっといろんなものを抱えてる。

でもこの映画の救いは、
彼女の想いを汲んでくれる人が、
かろうじていること。
そして、彼女の感情が死んではいないこと。
声を荒げて怒ることもあれば、
涙を流したりイラついたり、
根本的に考えれば、だからこそ
自分を抑え込みすぎて、
様々な衝動が押し寄せるともいえる。

そもそも彼女、スナック菓子を
ボリボリ食べながらテレビを観たり、
しょーもないスマホのパズルゲームに
夢中になったりと、もともとは
どこにでもいる、むしろガサツ寄りの
人間で、そんな彼女が
何もかも完璧を求められるような
息苦しい生活に順応できるわけないよな。

みんな、見えないところで戦ってる。
色んなつらさや苦労に
まとわりつかれながらなんとか生きている。

映画は、俺たちに希望や夢や、
楽しさや喜びとか色んなものを
与えてくれるけど生きていく以上、
やっぱりこのような現実とか
闇にもしっかり向き合わなければならない。

『生きてれば必ずいいことあるよ』
そんなことを容易く言う人もいるけど
俺は常に、
『絶対に幸せになれない人生もある』
そう思いながら生きている。
そして同時に、
『みんな、みんな、みんな、
幸せになってほしい』
とも思ってる。
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