こたつむり

ブレスラウの凶禍のこたつむりのレビュー・感想・評価

ブレスラウの凶禍(2018年製作の映画)
3.9
♪ 血迷った過ちに気付いて泣き叫ぶがいい
  はり裂けたこの胸に甘えてごらんなさいな

某映画と雰囲気がそっくり。
とは言え、ジーパンのCMに出ちゃうようなイケメンは存在しませんし、美人の妻も出てきません。勿論、老練な刑事も出てきません。

出てくるのはグロい死体。
焼かれたり、斬られたり、飛び散ったり。
映画のレイティングに「ヌードがあります!」と書いてありましたが、全部死体です。完全無修正です。

しかも、テンポが良くて分かりやすいんですよ。
終わってしまった「死」だけではなく「死」に至る経過もプレイバックしてくれるんです。きちんと「あー、こうやって死んだのね」と教えてくれるんです。とても親切ですね。

というか。
そこが主眼なんでしょう。
「こんな残酷な処刑を考えちゃったぜ。ウキキ」とほくそ笑んでいる監督さんの顔が浮かぶくらいに、なんだかノリノリなんです。イケイケなんです。

その証拠が、散りばめられたコメディ要素。
どことなく何となく、間の抜けた演出が差し込まれるんです。とても悪趣味ですよね。笑いと死は相反するもの(根源的なものは同じかもしれませんが)。この二つが両立しているだけでエグいんです。

そして、それを損なわないように。
ガンガンと畳みかける展開で気付けば魂は画面の向こう側。着地点が何処になるのか…冷静に考えれば分かるはずでも、怒涛のように畳みかける展開にアタマが真っ白になっていました。

考えてみれば、究極のバディ映画ですね。
主人公二人が短時間でお互いを認め合うんですよ。しかも、二人とも優秀なので物語の展開も早くなるんです。終盤の“ある行為”における素早さはビックリするレベルでした。

まあ、そんなわけで。
ポーランド産の『セブン』と名高い作品。
但し、根底にあるのは宗教観ではなく、もっと泥臭い人間的なもの。猟奇的なサスペンスをお探しならば、ちょうど良い案配で楽しめると思います。
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