イチロヲ

若妻日記・悶えるのイチロヲのレビュー・感想・評価

若妻日記・悶える(1977年製作の映画)
3.5
壮絶なる離婚経験をもち、ブルーフィルム監督へと転身を遂げた中年男(多田幸男)が、主演の少女(梓ようこ)に追い求めていた女性像を重ねてしまう。かつて実在したブルーフィルム製作者の逸話を題材に取っている、日活ロマンポルノ。

本作の主人公は「土佐のクロサワ」の異名をもつ、芸術家肌のブルーフィルム監督(非合法のエロビデオ監督)がモデルとなっている。幻の名作と称されている「風立ちぬ」(1954年度)が、劇中劇として挿入されるが、映像自体は作り直したもの。

物語内容は、監督の人間性を紐解きながら、ブルーフィルム製作に関わっている若者たちの群像模様を描いていくスタイル。いわゆる「脱出不能」の系譜であり、シングルマザーの立場になった元女優の役で、山科ゆりが登場する。

全体的に主人公の心理描写が弱く、ブルーフィルム作りに情熱を注ぐようになったキッカケや少女と前妻を重ね合わせるまでの過程が掴みづらい。だが、性カルチャーの在り方を考えさせられる着地を見せるので、総合的には満足することができる。
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