七色星団

スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバースの七色星団のレビュー・感想・評価

4.2
”本作は情報量過多のため、字幕を追わず画面に集中出来る吹替え版で観るのもヨシ!”
という意見に乗っかり吹替え版で鑑賞。

こりゃ一作目、超えてきた!

目に、耳に飛び込んでくる情報量がメチャクチャ多いのに全ての組み立てがちゃんと整理されてるから、この手の映画に有りがちな途中で「ちょっ待てよ???」みたいに混乱しなかったのマジ凄い。

複数のスパイディに複数のバースがあり、それぞれのバース毎に違う凝った世界観を描いて見せるけど、ストーリー自体は観客を戸惑わせる話ではなくて、要は
”運命なんて信じない!世界はもちろん大事だけど、俺は俺の大事な人も諦めない!”
というお話。

前作に比べるとグウェンの物語がかなりの比重を占め、彼女のキャラとしての奥行きが増したことでマイルスとの絡みがより重要なものとなった本作。
元のバースでの友人関係は空回ってしまい孤独なグウェン。そしてスパイダーウーマンとしての自分と警察官である父との関係性に悩み、苦しむ姿をそのままシンクロさせたような物悲しく、それこそ涙が頬を伝って流れるようなグウェン世界の映像表現が堪らなかったよねぇ。延々見てたいと思った,
その彼女の信頼出来る数少ない友人であるマイルスとの再会。背景となる巨大な都市を自由に飛び回り、だけどちっぽけな二人が肩を寄せ合うシーン。
なんだかグッときたよなー。

巷でも言われてるけど、似たようなテーマを扱う『ザ・フラッシュ』と何故このタイミングに公開?もしエズラ・ミラー騒動等での公開延期さえ無ければ『ザ・フラッシュ』は革新的作品として名を残すことが出来たかも知れなかった。
”似たような”と言えばもう一つ、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』との奇妙な符合があって面白かった。
『アクロス・ザ〜』の終盤、元の世界に戻って来たら、どうやら”ここ、元の世界と違うやん”という流れは『バック・トゥ〜』が思い起こされ、To Be Continue !だもん。
一方の『ザ・フラッシュ』は『バック・トゥ』ネタ祭りだったしね。不思議。

さてさて、最終的な評価は最終作『ビヨンド』を観てからになるけど、期待はするなって方が無理な話。
なので公開まで正座して待つ!

最後に。
吹替え版は声優さんも素晴らしく、特にマイルス&グウェンの小野賢章&悠木碧コンビが抜群に良くて、本編には文句の付けようがない。ブラボー!
ブラボー…なんだけど、いや、文句というかね、吹替え版独自のエンディングテーマはやっぱり考えて欲しいなぁ。いくら日本語吹替え版だからってエンディングテーマに日本人アーティストが入って来ると違和感がねぇ。
やるならせめてヒップホップ系のアーティストにするべきではなかったかなぁ。LISAのキンキン声と本編にかかってる音楽との温度が違い過ぎて、その高低差に耳キーンよ。
余韻も何もあったもんじゃなかったので、そこが吹替え版の残念ポイントかなぁ。
減点はしてないけど。
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