福福吉吉

サイレンシングの福福吉吉のレビュー・感想・評価

サイレンシング(2020年製作の映画)
3.0
動物保護区で密猟の監視を行うレイバーンは、5年前に娘が失踪しており、そのことで心を痛めていた。一方、保安官のアリスは両親を幼い頃失って以来離れ離れになり、養父母に虐待されていた弟を引き取って、面倒を見ようとしていた。ある日、レイバーンは保護区の監視カメラに何者かに追われる少女が映ったことから、少女を助けようと保護区に出かける。

レイバーン(ニコライ・コスター=ワルドー)とアリス(アナベル・ウォーリス)という心に痛みを持つ者が少女の殺害事件を発端にそれぞれの人生が交錯していくストーリーであり、かなり暗いストーリーとなっている。私は重い気分のままラストまで迎えてしまい、もう少しストーリーに緩急や明暗を効かせた方が観やすくなったように思った。しかし、中盤と終盤に意外性のある展開があって面白かったと思います。

主人公のレイバーンは娘が失踪して以来、妻と離婚して酒浸りの毎日を送っています。未だに娘の生存を信じている部分と諦めの部分が葛藤している様子がレイバーンの姿から心に伝わってきました。

そして、もう1人の主人公であるアリスは弟に対して放置していたという負い目を感じており、弟の悪行に対して強く言えない部分が印象的でした。保安官という立場と弟の保護者という立場の中で葛藤しているのが伝わってきて面白い存在でした。

事件として、犯人が弓矢に似た投擲武器で人を襲う姿が新鮮で、犯行現場に残った矢じりが捜査をかく乱していて良かったと思います。

観終ってこの結果で本当に良かったのかどうか疑問が残りましたが、個々の感情的な部分で決着させるのも珍しくて印象に残りました。

まずまず面白かったと思います。

鑑賞日:2023年5月8日
鑑賞方法:CS ザ・シネマ
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