うりぼう

海の上のピアニスト 4Kデジタル修復版のうりぼうのネタバレレビュー・内容・結末

3.3

このレビューはネタバレを含みます

午前10時の映画祭13

1900年に豪華客船で捨てられ、水夫に育てられた少年1900、音楽の神に見出され、自在にイメージ通りの音を操るピアニストに。どの国にも属さず、船客のみぞ知る、地上では誰も知らない存在に。

彼の唯一の友となるペット吹マックス、彼と別れ、楽器屋にペットを売り、店主に彼のあり得ない生涯を語る。

マックス、初めての乗船、嵐の船酔いに最悪、ピアノに向う1900、マックスに車止めを外させ、ホールを優雅に移動しながら演奏、隣のマックス、目を丸く、船の申し子を知る。最後に船長室に突っ込み、石炭焚べの罰、面倒になりスコップも燃やす。

ジャズピアニストの産みの親が、噂を聞き、船に乗り込んで来る。その音の美しさに1900、涙し「聖しこの夜」で応える。ジャズの神様、バカにされたと思い超絶技巧のピアノを披露。1900、技巧だけならとタバコをピアノの端に置き、3倍のテクを響かせ、聴衆と神様を唖然とさせる。以後、神様、岩戸に隠れ、船を往復し下船する。

1900、移民達にも気軽に弾き、海の声を聞いたという農夫に出会う。数年後、船内でレコード録音に挑む1900、窓の外に少女、彼女のイメージで弾いた曲が録音され、原盤に。これで大ヒットと喜ぶ業者に1900、音楽は渡さないと原盤を抱えて逃げる。

彼女の3等客室に夜中侵入、寝ている彼女にキス、ストーカー紛いにつけ回し、原盤を贈ろうと試みる。彼女があの農夫の生き残った娘と知り、下船寸前に声を掛けるが、下船集団に阻まれ、半端な別れとなる。原盤はゴミ箱へ。

数年を経て、「海の声を聞きたいと」下船する決意を固める1900、マックス、心から喜び、彼の家庭にご飯に呼ばれる夢を語るが、独り相撲。1900、お祝いにコートを貰い、船長らに見送られタラップを半分まで降りる。眼前には摩天楼のビル郡、果てしなく続く街並み、踵を返し、船内に戻り凹む。

時代は大戦へと動き、楽団は解散、マックスは船を降り、1900は残る。豪華客船も病院船として使われ、ボロボロで廃船に。マックス、彼がいると沈船オーナーに直談判、探し回るが見つからず、修復原盤を持ち込み、流して岩戸を開ける。

1900は、限りある世界、把握できる世界がいいと、下船しない決意を語る。マックス、泣く泣く別れる。廃船は沖合で見事に爆破沈没する。

店主に語り終えたマックス、店を出る時に店主から売ったトランペットを返される。お金は無用、その価値以上の話が聞けたと。マックス、彼のいない街へ彼のいない音楽の世界へ戻っていくのか。

1900、石炭の蒸気船の最後を看取る船の神、航海の不安をピアノで癒し、移民の希望を故郷の曲で祝福する。彼らの心を映す鏡、海の自然の躍動を伝える伝道師は陸に上らない。
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