萩原くわがた

妖婆 死棺の呪いの萩原くわがたのレビュー・感想・評価

妖婆 死棺の呪い(1967年製作の映画)
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子供の頃に聞いた奇妙な昔話のような映画。
オープニングから語られるのは「世にも恐ろしい『ヴィー』の物語。」

ヴィーとは何?わからないならまあこの映画をこのまま見てて と言われている気がして、好奇心の赴くままに耳と目を傾けさせる魅力が充満。
乾いた雰囲気の草原のロケーション、点在するすすけた民家、埃っぽい老人たちの全てが愉快で不気味な雰囲気。眺めているだけで世界の中に自分が滑り込んでいく感覚が気持ち良い。
魔女か妖怪か、なんとも独特な超常現象の連続の怪奇譚に見舞われる主人公の神学生は生意気なところがありつつも人間味に溢れていて愛着が湧く。秀逸な怪奇描写は勿論のこと、腰を抜かしながらも災難に揉まれ続けて頑張る彼の姿が楽しい。
神学を学んでいるだけあって魑魅魍魎に対してはある程度対抗できるので、ホラーでありながらバトル要素もあって熱い。

驚くべきはカメラワークのダイナミックさと大胆な演出。60年代クラシックホラー映画といえば、日本やイギリスの作品だったりするとモンスター役者や被害者役の演技力にかかっているような部分があるが、ソ連製の本作はまさかのダイナミックさでこちらを圧倒してくる。
妖怪達の造形もかなり独特だがなかなかにクオリティが高くてセンスの良さを感じる。70分代という短さだけどしっかり満足できる面白い作品。