じぇいらふ

ハイゼ家 百年のじぇいらふのレビュー・感想・評価

ハイゼ家 百年(2019年製作の映画)
4.7
なかなか凄い作品だった。監督自身の家族について祖父から自分の代までの歴史を、シャープ過ぎる映像と手紙の朗読がひたすら続くというストイック過ぎるスタイルの全5章。故に途中何度か意識が飛びましたが笑、面白かったです。ドイツ人祖父ヴィルヘルムとユダヤ人の祖母エディトのナチス時代の1章はひたすらリストのスクロールをバックにだんだん状況がやばくなっていく手紙のやりとりが恐ろしいです。その後の『気にしないでね』🎵の歌の皮肉とか最高ですよね。

2章以降今度は恋多き母ロージーの多数の恋人達の話が続きまして、その中にウド、ウドとウド鈴木(実はイケメン)がいるらしいのですが笑、そいつのしつこい求婚が玉砕する手紙とか結構あけすけで、こういうの作品として残るとか嫌だろうなあと🤣手紙の下書きの公表とかやめて欲しいよね笑。

戦後東ベルリンでの東側での苦難と壁崩壊後もまだまだ続く混乱とか、日本にいるとわかりにくい葛藤が生々しいです。素晴らしすぎる横移動の映像がやたら多くて特に列車がたくさん映るのですが、沢山の車線がいろんな可能性があったかも的な暗喩を感じます。

トーマス・ハイゼ、それにしても凄い作家がいるもんですよね。知らなかった。サニーフィルムさんこういう知られざる作家を紹介してくれて目が離せませぬな。こんな作品良く作ったなと。ポン・ジュノがアカデミー賞で語った「個人的なことが、もっとも普遍的」のマーティン・スコセッシの言葉を思いだしますな。