先生

モーリタニアン 黒塗りの記録の先生のネタバレレビュー・内容・結末

4.1

このレビューはネタバレを含みます

キャスト目当てで見たけど、評判良かったし、そこそこ期待してたら、その期待通りの面白さ。良い映画。

スワヒが本当にテロに関わっていないかいるのかまあまあ中立だけど、結果無罪なので、無罪寄りの描写。でも、完全にクロだと思われてる人間と関わりがあったり、アルカイダの軍事訓練も受けていたのでわからない。そこらへんはフェア。決定的な証拠が無いから、自白で証言を取ろうとしたんだろうけど、拷問によるものなので無効。これ、アメリカが無能なんだよなあ。

犯人を捕まえたい。証拠がない。自白させるために拷問する。めちゃ間違ってる。密かに殺すこともしない。なぜなら法律があるから。でも拷問はする。矛盾してるよ。中途半端に守るし破るから、地獄のような状況を作り出している。悪に踏み切らなくても良かったが、じゃあ法律守れよ、無法地帯に収容所を置くんじゃない、と思う。

なぜグアンタナモにあるのか。被拘禁者ではなく看守を法律から遠ざけるため、という台詞が良かった。

あと、無罪だと信じてたから応援してた若い弁護士が、罪を認める供述書を見てパニックってキレて担当から外れるのが印象的。あれたぶん演出だとは思うけど、より、無罪だから応援したり弁護するのではなく、どんな真実があれ人権は守られるべき、という態度が強調されて良かった。ほんとにそれ。どんなクソでも人権は守られるべき。ごくごく個人的な感情では嫌だけど、守られるべきだとは思う。

カンバーバッチの役も良かった。政府の都合に巻かれることなく、法の番人として、ノーを突きつけるのが良い。

最後の裁判でのスピーチ感動したとあったが、そこまでの感動はあまり。すごく思慮深い人で、みんなの都合も考えつつ自分の意見を真摯に言葉に出来る人なんだな、と感じた。良いシーンだとは思う。罵るよりは良い。そんな人間でも控訴されてさらに同じくらい拘束されたのはほんとクソすぎる。良いシーンで終わらせないままちゃんと事実を伝えていて良かった。

教会で、カンバーバッチが死んだ友人の妻を気にするシーンが良かったな。犯人に報いを与えたいけど、誰でも良いわけじゃない、というのが良い。

良い映画だった。
先生

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