ひこくろ

七つの大罪クラブ 生贄になった少女たちのひこくろのレビュー・感想・評価

4.2
田舎の閉塞感と、宗教の秘密性、それに少女特有の不安定さが絡みあって、独特な味を醸し出しているホラー映画だった。

色欲、嫉妬、暴食、怠惰、強欲、憤怒、傲慢という聖書の七つの大罪に例えられる少女たちは、それをどこか自分の特権のようにも感じている。
だから、堂々と振る舞うし、それを否定しようとするメンバーがいれば徹底的に追い詰める。
「傲慢」を冠した、主人公のオーブリーはいい子を演じたくて、彼女たちの罪を牧師に告白してしまう。
そこから物語が始まっていく。

信仰心の厚い田舎町では、大罪は汚らわしいものでしかない。
少女たちはそれを十分に理解しつつ、だからこそ反抗して自ら大罪であろうとする。
オーブリーは信仰的に正しくても、彼女たちにとっては裏切り者で、それゆえにこれでもかというぐらいないじめを受ける。
この辺、少女特有の残忍さ、脆さ、自己肯定、自己否定、自己矛盾といった、いろいろな感情か滲み出ていて、とても怖かったし、面白かった。

物語の展開はかなりあちこちに飛ぶ感じで、わかりやすい一本のストーリーにはなっていかない。
いじめの話かと思えば、オーブリーの失踪の話になり、次には彼女たち自身が次々と殺されていく連続殺人の話にまでなっていく。
特に終盤はかなりめちゃくちゃで、ある意味、怒濤の展開と言ってもいい。
ただ、宗教という枠がしっかりと効いているので、そのむちゃくちゃささえもが、ちゃんと話に収まっている。

変にグロくもないし、日常描写などの些細なシーンもちゃんと描いているので、見た目よりもはるかに真っ当な映画だった。
意外と言ったら失礼になりそうだけど、面白かった。
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