鴉

シン・仮面ライダーの鴉のレビュー・感想・評価

シン・仮面ライダー(2023年製作の映画)
3.4
主人公の本郷猛の仮面ライダーの強大な力に戸惑いを隠せない状態は、とても人間味がありました。敵を殴ったら血を噴き出して即死させてて、その力の強大さに恐怖する心理状態と、観ている人の初見のインパクトがシンクロしたシーンになっていてとても良かったです。
その演出として敵を殴ったら凄い勢いで血が吹き出たりして、最初見た時はやりすぎでは?と思ったけれど、仮面ライダーの強さや仮面ライダーの肉体的な生々しさを演出するうえでは効果的だったと思いました。

ロケーションの選定とアングルも良かったです。エヴァの頃からそうでしたが、静止のショットでもアングルと背景の奥行きがあったりして、同じ日本でも今まで見たことないようなショットが多くかったです。

会話シーンはシンシリーズ特有の主観視点やカメラの切り替えの多さがありましたが、ちょっとやりすぎかなぁと思いました。このシリーズ独特の作風ではあるし、ウルトラマンやゴジラではそこまで気になりませんでしたが、仮面ライダーではちょっとスタイリッシュさに欠けるかなぁと思いました。

音楽はかなり好きでした。バイクチェイスのシーンで流れる劇伴は勢いがあってストリングスの厚みもあって、バイクチェイスのシーンをより好きになれました。他にも仮面ライダーのメインテーマが流れますが、どうしても古臭さを感じてしまって、仮面ライダーだからあって然るべきではありますが、ちょっと古臭さを感じました。(しょうがないっちゃしょうがないですが)

効果音も冒頭のシーンは爆音で芯がない感じのヒット音で、違和感がありましたが、仮面ライダーの力の強大さを描きたかったのかなと思いました。
他にも刀の効果音はライブラリの効果音でしたし、パンチ音はドラゴンボールのような効果音で、全体を通してかなり誇張の聞いた効果音が多かったです。仮面ライダーの世界観にはハマっていましたが、他のチョイスもあったのかなぁとも思いました。個人的にはもっと聞いたことない効果音が聞きたかったです。

途中でモノラルの音楽が流れた時は、ちょっと困惑しましたがw、爆発シーンとかはサラウンドで再生したりしてて、今と昔が織り交ざった作風を感じました。

アクションシーンもかなりCGを使ってるシーンが多かったですが、ちょっと稚拙に感じました。昔の作風を今に起こしているような雰囲気を感じて、昔のアクションの演出を用いたのでしょうが、個人的にはあまりかっこよさを感じなかったですw

かっこいいシーンはあったけれど(バイクのチェイスシーン)、全体としてストーリーのテンションの盛り上がりはちょっと足りなかったかなと思いました。庵野さんの思う仮面ライダーとなれば、こういう感じになるのも頷けます。

ただ、仮面ライダーの人間味は伝わってきたし、総合しても観てよかったかな?とは思いました。
鴉