ノムラ

そして、バトンは渡されたのノムラのレビュー・感想・評価

そして、バトンは渡された(2021年製作の映画)
4.5
金曜ロードショーで再視聴。またぼろぼろと泣いてしまった。恵まれた原作に適したキャスティングが素晴らしく、女優さん俳優さん達の演技が光る上質な邦画である。

森宮さんをはじめとした親4人は皆優子に対して好意的な感情以外の迷いや不安を抱えているにも関わらず、全員が優子の親として立派に振る舞おうとしたいがために隠し通している。そのいじらしさや不安を演技で表現し、ストーリーも一切邪魔せず、原作の良い部分を抽出し映像作品の強みとして発揮している。特に優子の服を赤いバトンと母の愛を無意識に求めるようコーディネートしているのに痺れた。親全員の服がとことん考えられている。
最後のシーンと卒業式のシーンが好きだ。田中圭の泣き顔に100%もらい泣きしてしまう。親達が優子を見て涙を流したのは、かつての娘との再会や娘の晴れ舞台であるからだ。だが彼らは人生の数奇な流れにも感極まったのだと思う。不本意に手放し、本来相容れない縁のはずであった大切な娘というバトンが、水戸に梨花に泉ヶ原に森宮に巡り、五度目の名字変更を迎えようとしている自分たちの娘は全然不幸ではなさそうなのだ。それはどの家でも大切にされた証拠である。
エンドロールも必ず見てほしい。大好きな映画。
ノムラ

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