青二歳

天守物語の青二歳のレビュー・感想・評価

天守物語(1995年製作の映画)
5.0
泉鏡花の世界を映像にしてくれてありがとう。天守物語映画化。玉三郎が豊姫さま、宮沢りえが亀姫さま。1917年に発表されて以来、日本映画史上、誰も手をつけなかった…多分手を出せなかった天守物語。あぁ鏡花に見せてあげたい。

でも…10年ぶりの鑑賞でいろいろ限界も教えてくれてありがとう…。"戯曲の映画化"ではなく、"舞台の映画化"を試みているので、映画としてはかなり残念。
ハリウッド超大作レベルの予算がなければ鏡花の"映画化"はムリなんだな…
けれど、原作を考えたらこれしか無いんです。だって原作の台詞削りたくないよね!

そしてさすが玉三郎。梨園の監督となれば衣装の調達が圧倒的。かつての日本映画に匹敵する豪華さ。

ともあれ、鏡花の描いた人ならざるものと純真な青年の恋物語。鏡花の提示する美しいある種のアナーキズム。人の世の理を超越する世界。純粋を夢見た鏡花の危うい理想。
気持ちよく浸りましょう。

宮沢りえはふくよかでお姫様然と美しく、宍戸開は壮絶な美少年です。
青二歳

青二歳