緑青

THE FIRST SLAM DUNKの緑青のレビュー・感想・評価

THE FIRST SLAM DUNK(2022年製作の映画)
3.9
こんなのおもしろいに決まってるよなぁ…!!
もともとスポーツものがあまり得意でないので正直に言うとそこそこ斜に構えて言ったが悔しいかなおもしろかった。得意でない理由も、負けず嫌いすぎて応援してるチームをどうしても勝たせたくなり、そういう自分を客観視してなんか引きまくってしまうからなんですが、今回は客観視しないでのめり込んで観てもいいんだよという危うい肯定感があってクラクラした。まるで試合に出ているかのような主観的な視点を心象風景と交えながら違和感なく作れるのはアニメーションの特権ですね。試合中のアニメーションをずっと観ていたい。この完成図が脳内にあって、それを漫画という形にしていたと思うと凄まじい。
音のディテールとクオリティがえげつない、あんなのどうやってタイムシートつけるんだ?一方で試合のラストの展開、観客が息すらしないで、祈るようなシンと張り詰めた空気で、ぴたりとスクリーンに釘付けになっているような気配がすごくよかった。映像が観客の呼吸すらコントロールしている。あそこは記憶を失くしてもう一度観たい。
花道君は主人公としての輝きが消せきれていなくて惚れ惚れとした。あと流川さん、マジで最高だったなぁ。たまらん。ああいう人間が花道さんや三井さんみたいな人間とぶつかる時の、真っ白に散る火花の美しさと言ったらない。あの三井さんへの態度の強さが良い。三井さんもすごく好き。過去の基礎鍛錬に基づく技術があってプライド高くてフラフラでも意地で立って勝つタイプ大好き。

主人公たちの名前と顔が大体わかるくらいの知識で行ったが、たいへんアツくて面白かった。原作の湘南のイカつめのヤンキー感がかなり控えめに、滑稽寄りに描かれていて、その点は比較的現代的になっていました。物語としてはリョータの過去が辛すぎて途中ちょっと心折れそうになりました。そんなに辛くしなくても…いいじゃない…!!!
日本アニメーション史に残る良作だと思います。
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