ひば

あのことのひばのレビュー・感想・評価

あのこと(2021年製作の映画)
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聞こえてくる会話や周りにいる人間みんな馬鹿に思えてくる、まったくもって無価値に思えてくる体験が一番自分を追い詰めている。あわよくば自分を刑務所に送り、善意の果てに殺されるかもと1秒ごとカウントダウンを過ごすのはとてもつらい。自分は横にされたまま相手に見られるって不安だし軽んじられてるって感じるんだよね、それで自分の命の話を自分不在でを進められるんだよ。高齢者も同じだよ。痛いのが怖いし死ぬのも怖いを当たり前で語る人間史がわたしは怖い。自分の中に別の命が宿るという不気味さに堪えられない(『エイリアン』を想像してしまう、意志に反した妊娠とかそういう意図でつくられた映画だったし)。魚や虫のように産卵が人生最後の一大事業だったらもっと状況は違ったのかな、でも生存率を高めるため無個性でみんな一斉に交尾するからそれもな…生涯エスカレーター式学校みたいな…
内容については、確かに/極端では…?の気持ち折半。女性の"でもお前は妊娠しないでしょ"って男女の対話を終わらせる分断の言葉だと思う面もあるから。中絶を反対する親は子供を家畜みたいに繁殖目的で産んだのか?とか極端なことを思うこともあるよ。周りをうっすら見下したいしてすきでもない女と時間をすごし、性欲でする性行為/フラストレーションを紛らわせるための性行為(境界は曖昧)があり、親とも微妙な距離感を維持、どれもこれも開けっぴろげに言えることじゃない何重のレイヤーで自分を自分を守り、感情を露に泣き叫ぶことは許されない。「遠距離恋愛でしょ?どうするの?」「尋問する気か?」の会話がいやだった。当事者でない者との会話の軸にびくつく。秘匿性が高すぎてわたしも同じような反応をする気がする、他者への想像力が欠けてるって常日頃反省してるから。
アメリカでの女性報道のドキュメンタリーで、妊娠6週以降の中絶を禁止にするだけって言う政治家に対し「4週目に入らないと検査薬が反応しないんだよ」とキレたり、州をまたいだ中絶手術が殺到し17時間で67件も処置するクリニックや、レイプが多くクリニックが緊急外傷センターと化していることが取り上げられていた。中絶だけの問題でなく人種差別や医療へのアクセス制限まで広がる問題だ。韓国では2020年まで中絶は非合法だし、日本だって孤独に出産し自身のみ生き延びた少女が逮捕されるし、難民の中には何回も性暴行や出産を経験してる人もいるし、この先もずっと暗い気持ちです。性行為って時期や一存で祝福にも罪にも罰なる。性行為について奔放でも全然構わないがどんな性別にせよ命や健康が関わるだけに信頼できる人とだけにしてほしい。女性は、産まない、子供は好きじゃないと口にするだけで攻撃される。産みたくないが多数派になる世の中「なぜ産まないのか」より「なぜ産むのか」聞いた方が産みたいと思える人が続くんじゃないのかな。余談だけど美容整形や形成手術も受ける女性に主導権がないパターンも多く(男性が人形をつくるように注文する)、女性ってなんなんだろう
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