かに

ちょっと思い出しただけのかにのネタバレレビュー・内容・結末

ちょっと思い出しただけ(2022年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

松井大悟監督 「ちょっと思い出しただけ」
公開初日 レイトショー みた!
この前の松井大悟のラジオ、JUMP OVER、尾崎世界観がゲストの回を聴いて、初日に絶対みるぞと計画立ててモレラ岐阜へ。
ちらほらと観客。みんなクリープハイプ好きなんだろうなぁ。

ラブストーリーなんだけど、なんだか不思議。
コロナ禍の現在だから、みんなマスクしてんだけども、途中でみんなしなくなったぞ。なんだこれ。
と思ってたら、時系列じゃなくて、遡ってってんのか。と理解。
2人の現在と今までの関係と、コロナ禍の現在の生活とコロナ前の生活のコントラストが、なんだかリンクしてるような感覚になって、あーちょっと前まではこんなような人との関わり方だったんだよなぁとしみじみ。
状況が変わってるんだから変わらなきゃいけないのはもちろんなんだけども、変わりたくない感情もあるなぁと。
生活も、恋愛も。
池松壮亮も伊藤沙莉も、ほんとに良い。
伊藤沙莉は全裸監督で知ったんだけども、なんとも言えぬ魅力が溢れてるんだよなぁ。
タクシーの中で映画の真似してふざけるとことか、劇場で初めて会った時の舌打ちのやりとりとか、もう1回見返したいシーンがいっぱい。
ちょっとしたことですれ違って、もういいわと投げやりになってしまったことは多々あるな。ほんとに。
時を遡っていく構成だから、そういう時にあの時の気持ちを思い出せれば回避できたことなんていっぱいあるよなぁと気づかされる。
初心忘るるべからず。ということだ。ほんとに。
あの情熱を、愛情を、熱気を、忘れるなということだ。
変わらなきゃだけど、変わるな。

ニューヨークの屋敷がいい味を出してる。そして、何気にキーパーソン。まさかの。
タイトルの「ちょっと思い出しただけ」が、ほんとに刺さる。
ほんとにそれだけなんんだけど、ほんとにそうなんだけど。
人それぞれに、そういうドラマがあるんだろうなぁと。そう考えると、全ての人が愛しいな。

帰りの車で、クリープハイプのナイトオンザプラネットを何度も聴く。
ほんとにこの映画のまんま。ほんとに。
映画みてから聴くと、ものすごい聴こえ方変わる。
歌詞が、刺さる。
文学だ。これは。

映画の中で、字幕と吹き替えどっちが好き?って聞くシーンがあって、池松壮亮は「字幕でしょ。集中できるし、しゃべった声がそのまま聞けるからスッと入ってくる」って言ってて、自分もまさにそれなんだけど、ナイトオンザプラネットの曲では「字幕より吹き替えで」って歌ってたよなぁ。映画と違うなぁ。とかその時は思ってたんだけど、
エンドロールでよくよく聴いてみると、最初に1番で「吹き替えよりも字幕で2人でみたあの映画」って歌ってた。
そして、2番の歌詞に、ズキュンと心打たれた。
「あの頃と引き換えに、字幕より吹き替えで、命より大切な子供とアニメを観る。いつの間にかママになってた。」
なるほど、そういう変化だったわけだ。
あーもう、余韻が半端ない。

ちょっとした出演者がとっても豪華。
「私たちのハァハァ」からの流れで大関れいかも出てるわ。
クリープハイプもちゃんと本人役で出演。尾崎世界観3曲くらい歌ってたかな。
「どこかで会ったことありましたっけ?」「ええ何度か」
路上ライブのシーンがとってもいいんだよなぁ。素敵すぎる。
クリープハイプ好きなら絶対みた方がいい。
映画館で映画観るって、やっぱり最高だなと改めて思った。
ジムジャームッシュのナイトオンザプラネット観てみないかんな。

誰かぜひみてみてくれー!語りたい!!!
かに

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