ぱきら

君を愛したひとりの僕へのぱきらのレビュー・感想・評価

君を愛したひとりの僕へ(2022年製作の映画)
1.4
たまたまふんわりAmazonプライムで視聴しているので何も考えず、もう一本の対のほうに軽く触れてから後にこちらを観る順番になりました。
概ねこちらのほうから先に観ることをおすすめします。が、何となくわかった状態で観るのもそこまで悪くもないとは思われます。

にしても、正直言えばあまり楽しめず。
薄い。
薄いSF要素、恋愛模様、ストーリー性、人間描写。
全てが薄く感じられます。
原作がある作品のようですし原作はこうでないのでしょうか。
だとしたらそれも残念過ぎる。

が、もう一本のほうよりはこちらのほうが楽しめました。
なので作画がもう少し良かったら、また大分違う印象だったのかもしれません。
後述のように、脚本というかストーリーとしての人物描写の薄さは正直どうにもならなそうですが。

話だけでなくとにかく絵柄や作画も、今どきの劇場版としたら薄い。極薄。
元の絵柄というかキャラクターデザインも淡泊なせいかあまり上手ではない絵を見せられているように見えてもしまうのに、大人キャラクターのデザインも若者と同じ顔にほうれい線や赤い口紅や髭を描き加えただけなのもきつい。
アニメーションとしての動きも現代の作品としては雑。でも下手に3Dにしたり、動きがいかにもなデジタル補完を多用し過ぎる動きだったりとかではないので、そこは最近のアニメの動きとしてはまだ観やすい気もします。あくまでもアニメーションの動きの部分だけの話にはなりますが。

ストーリーも人物描写も、そしてこういう話であれば求められるような展開や設定の見事さも感じられないままで、後半は失礼ながら思ったよりも話に展開があってそこはよかったのですが
全般的には、絵もあまりお金や時間がそこまではかけられなかったのかな、もうすこし丁寧に作れたらよかったのかな、それを許されない環境だったのかななどと感じてしまいました。
二本で成立するという凝った作品だったようなだけに、それでお金や時間が足りないのなら意味が分からず勿体なく感じてもしまいます。

男性主人公のキャラクターや心理描写なども全く人間味や感情がまったく伝わって来ず、というかそもそもおそらく芯がない。ふんわりこんな感じかなとは思えるものの、ふんわりはふんわりでしかなく。

あとネット上ではこういうことを言うと、いちいちフェミがなどとまるで(本来のフェミニスト思想とは、意図的にずらされたところでイメージが定義されている)偏った悪い視点を披露するかのように言われそうですが、でもあまりにもですし、こういう感想をどこでも読めないことすらつらいので書き残しますが、
そして全くこの作品に限りませんが、夏のシーンといえば白いワンピース着た女子が出て来る日本アニメが、いつまでもいつまでもいつまでもいついついつまでも生産され続けるのが大層つらいです。
キャラクターデザインと視点が、あくまでもどこまでも男性視点なんだなと実感させられるようで。
生きている女子が着て行動するための服としてでなく、男性主人公から見た、イメージとしての女子が着ていそうな服がふんわりここでも出て来てしまう様を見せられているようで。回想シーン等だけならまだ分かるもののそうでないので、つらい。
息をしている女子キャラクターでなくイメージとしてのアニメの中の男性から見た女子キャラクターでしかないというか。
それが白いワンピースに表れてしまうというか。

どこから始まっているかは誰もが想像のつくことですが、君の名は大ヒット以来の、ボーイミーツガールぽい、そして薄目のSF風味設定がまぶされた雰囲気かつJ-POPのMV風の場面や演出も交えたような、男性向けライトノベル風味が濃いアニメ映画は勿論それはそれで作られてよいでしょうが、それ風「だけ」がどんどん出る傾向は、そろそろ終わるといいのに。

若者限定でなく、こどもも大人も観られるものを作るのはとても難しいとは思いますが、安易に限られたジャンルのものだけがいくつも出続けるのはとても厳しい。
日本のアニメは独自の展開をしていて、それはそれで良し悪しですが、同じような限られた、男性だったりラノベ風だったりの層に向けた作品作りが続いてしまうのは、そろそろ広がりを見せてほしい。
男性向けだったりラノベ風だったりのアニメはあっていいですが、似た層に向けた作品だけがいくつも作られ続けるのでなく、もう少し色々な作風がほしい。
企画が通らないんでしょうね、などと素人すら思ってしまいます。

あと主に声のお仕事の多い声優さんでなく、普段は声のお仕事をしていない俳優さんを使う傾向もとても厳しいので、終わるといいです。
企画がそうでないと通らないのかなあ、とここでも思わされます。しかし誰も得をしていないので終わってほしい傾向です。

その傾向とは別に多分この映画ではもう一つの方と共に、それぞれのテーマソングを担当したミュージシャンに声優のお仕事にも参加してもらったのでしょうか。クレジットを見ていて気付きましたが。どのシーンでかは自分には分からなかったものの。
ぱきら

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