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聖闘士星矢 The Beginningのまるもっとのレビュー・感想・評価

聖闘士星矢 The Beginning(2023年製作の映画)
2.8
2023年4月28日、劇場鑑賞(字幕版)
2024年4月29日、アマプラ視聴(吹替版)


◇良かった点
・新田真剣佑の俳優としての魅力
・現代解釈による聖衣のあり方
・テーマ

◆悪かった点
・深堀りのないドラマ
・アクションとCGのシーンごとの落差
・ヒロインの俳優に魅力がない
・「聖闘士星矢」というノイズ


映画のテーマは
「過去の自分は自分でしか救済出来ない」
「自分の未来は自分で切り開く」

話の建付けとしてはシンプルだが、
ドラマ部分が非常に薄く、キャラクターの深堀りがないので、
ご都合主義のような展開が続く。

神と人間の関係性は原作と違う展開になりつつも
その設定説明が映画内で語られないので、
初対面の人間が過去をポンポンと語り合い、
最後は命を顧みず主人公がヒロインを救うシーンに

「真剣佑、凄い筋肉だな」

と、別の要素に目が行く。

序盤のドラマはハリウッド映画のシンプルさ、
コメディ要素などもあるが、
「聖闘士星矢」の要素が出てくると、
それが「ノイズ」となりお話にブレーキが掛かる。
「聖闘士星矢」の映画で
「聖闘士星矢要素」が足を引っ張るという矛盾が起きる。

東映は聖闘士星矢というコンテンツをIP化したいのか、
10年前にも同作のCG映画を制作するが、
興行的には失敗に終わっている。
CGアニメ、NETFLIX版もそこまで話題にならず、
結果として浮き上がってくるものは、
初代のアニメの完成度と、その玩具の売上が好調だという現実。

映画的変化と現代風に…という意欲と
心意気は理解出来るし正しいのだが、
新要素を引っ提げ制作する度に
新世代の興味を惹けず、
旧世代には外方を向かれるという有り様。

今作も80億近い制作費とも言われる中、
全世界の興収が約10億というのには
企画として180度間違っている事は明らか。

今作は「聖闘士星矢」という要素を外すと
世界観による説明描写が消え、
既視感はあるが物語的に纏まっている。
しかし、それだと出来上がるものは、
今まで見た「何か」なのである。

劇中で星矢が「小宇宙」を体得するが、
東映は聖闘士星矢という「小宇宙」に
長年向き合えていないのは、
何とも皮肉なものである。
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