ユーライ

オッペンハイマーのユーライのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
3.5
時系列を錯綜させながらクローズアップを多用し、劇伴鳴りまくりに加え定期的に爆音を挿入。これらを細切れの編集で紡いでいく飽きさせなきゃ何でもいいんだよと言わんばかりの図々しさで3時間持たせるハッタリ力(ちから)は見事なものだ。パートカラー仕様の無意味さ等を見るに、下手なのを無理くり誤魔化してるだけなんじゃねぇのかという気も凄くする。お題目としては、これまで能天気ハリウッド・コードでぶっ放しまくりなのは何だったんだと思える程度に踏み込んでいて驚かされる。「京都だけはお気に入りだから見逃してやるがねHAHAHA」といった政治屋のクソムーブを自国の恥として直視する姿勢、見直しましたよ。ラストショットにてオッピーは文字通り「目を瞑る」。製作陣の限界と心情をゲロるのと同時に、一定の誠実さえも担保してしまう綺麗なオチだ。それでも「※これはイメージ映像です。」なんていうナショナルジオグラフィックで締めるのではなく、脳内で思い描く調和の取れたセカイとは相反する、現実で実際に起きた地獄絵図を映してこそだろ、とは未だに『はだしのゲン』がトラウマになっている日本人の端くれとしては思います。いくら理論武装しようとも、お前体よく逃げやがったなこの野郎……。
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