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オッペンハイマーのshihoのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
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月曜日に原爆資料館に訪れたから尚のこと、こんな気持ちでこの映画を観るべきではなかったかもしれない。
彼の人生に焦点を当てた映画とわかっていたけれど、どうしたって純粋にストーリーを追えるはずもなく…。

人類にとって忘れられない日は、こんなにも真逆の意味を持つとは想像もしていなかっただろうし、原爆投下の成功を賛美と喜んだ人たちやその悲惨さを正当化している人たちが虚しく映った。
投下後の集会で、彼の苦悩とともに肌が爛れていく女性の姿などの幻覚シーンを差し込むなら、あの一瞬でもいいからもっと恐ろしい描写を加えて欲しかったとも思ってしまう。

SFじゃないからと言ってノーランのストーリー技法が失せることもなく、恐ろしいほどの映像美と凄まじいほどの場面展開と早い会話劇とでしんどい気持ちのまま映画に着いていくのはなかなかヘビー。
苦悩や混乱を表す音響効果や無音の使い方もさすがだった。

ただただ色んな意味を込めていうと“美しく”映画を作ったなと思った。
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