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デューン 砂の惑星PART2のkenのレビュー・感想・評価

デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)
5.0
2024年劇場鑑賞6・7・9作目

1回目:2024年3月9日 Dolby Cinema
2回目:2024年3月28日 IMAX
3回目:2024年4月11日 通常上映

夢の一つだった「海外の映画館で映画を観る」が叶いました。ヨーロッパ旅行中にフランスはパリのLE GRAND REXにて。まさにプレミアの会場となったヨーロッパ最大級の映画館。残念ながら、この映画館の目玉であるThe Great Hallという会場ではなく、今回はINFINITEというDolby Cinemaでの鑑賞。
英語パートは理解できたけど、肝心のフレメンたちが現地チャコブサ語で話しているシーンやハンドシグナルはフランス語字幕なのでさっぱり。帰国後に再鑑賞、やっぱりIMAXで観たいのもあって。

〇美の祭典
キャスト、衣装・ガジェット、未来の乗り物・建築物、景色・ロケーションなど、スケール感とビジュアル美が素晴らしい。それこそヨーロッパ旅行中に様々な美術品を目にしてきたけれど、彼こそ後世に語り継がれるべき現代の芸術家じゃないかと思う。この完成された世界観、映画の中の別世界へ誘う力のある作品はまさに芸術品。

〇IMAX×ドゥニ・ヴィルヌーヴ×DUNE
クライマックスの皇帝軍への強襲シーンは圧巻の連続。IMAXの魅力を最大限に活用して迫力満点。『アベンジャーズ/エンドゲーム』を観てからというものの、両軍が入り乱れる合戦シーンを観るたびに思い出す。そのくらい決戦シーンにおける正解といえばエンドゲームだと思っていたが今作の決戦も見事で、特にフレメンのフェダイキン(戦士)たちが何世紀にも渡る救世主伝説を信じ、預言がついに成就する瞬間に立ち合い、自分たちでかなえようとする聖戦へのエネルギーがひしひしと伝わってきた。
Part1のゆったりとしたペースとは異なり、テンポよい進展のあるストーリーだったPart2。それでもまだ「俺たちの戦いはこれからだ」と言わんばかり。このDUNEの世界をもっと観たいと思わせる続編への期待感。
・Part1のビジョン映っていたカラダンへ移住したフレメンたち
・驚きのシークレットキャストが登場した砂漠と海が共存する未来のアラキスの姿
・諸大領家との戦いではドゥニの描く宇宙空間での戦闘が見れるのか

〇ティモシー・シャラメ
出演作が軒並み代表作にラインナップされていく絶好調のティミーは流石のセルフプロデュース力。これ以上なく似合う特徴的な髪型。前作での悲劇の主人公がPart2では偉大なアトレイデス家の後継者へ成長し、宇宙皇帝を相手取るに相応しいカリスマ性を発揮。
フェイドとの決闘ではキャプテン・アメリカもびっくりな回転回避を披露。これまでやってこなかったけど、プリンス・オブ・ハリウッドはアクションもできるんだということを世の監督たちに知らしめてしまったので、次回作のオファーが鳴り止まないことでしょう。
スパイスによる利権を求める他のキャラクターとは異なり、味方につけるためにフレメンの文化に溶け込み、戦果を上げ戦士の一員として認められ、最終的には率いていく姿が素敵。砂漠に忍んで砂塵に紛れて戦う姿は忍者のようだった。
人は死んでから蘇ると救世主になれる。

〇サンドワーム
Part1ではなかなかその全貌を見せず、ついに終盤で砂の中から身を出しスクリーンいっぱいに立ちはだかる姿が映し出されていたサンドワーム。一つのシーンに収まるのは一度に一匹までで、どれほどアラキスにおいて強大な生物なのかが強く印象づけられていた。
そんなサンドワームが今回は大盤振る舞いの大活躍。
・ハルコンネンの襲撃を受けアラキス南部へ民族大移動するシーンでは、ターミナル駅から同時に出発した列車のように並行して進む。
・覚醒したポールが原理主義者の会議に向かう場面。アラキス北部の暖かく柔らかな砂漠とは対照的に、人が住めないと言われる南部は固く荒れた黒い地面で火山地帯のように見えた。その台地で波打つサンドワームが印象的。それを背景にこちらへ向かってくるポールからは宗教画のような神秘的な映像美を堪能できた。

〇レベッカ・ファーガソン
アラキスの教母たちの記憶を引き継ぐ前後での変化や、教母としての意識が強くなる中で母ジェシカの意識が垣間見える部分、覚醒したポールの強大な力に少しおびえているような様子などキャラクターの揺れ動きが良く伝わってきた。
どのシーンを切り取っても絵になる。現代劇と違いメイクが不要なDUNEの世界観で、アップになれば顔面の強さが良くわかる。トークショーに出るたびにおちゃらけているのを見ると、劇中の役とのギャップが大きくファンにはたまらない。

〇スティルガー
なんだかずっとかわいかった。Part1での初登場シーン、ダンカンに首都アラキーンへ招かれた際には、戦いとなれば悪魔のようだと評されていた不愛想なこの男が豹変。Part2ではポールこそ救世主だと心酔する面が強かった。ポールがそれを否定すれば「謙虚でなんと奥ゆかしいのか!」と笑顔で周りに言って聞かせる姿がほんとにピュア。誰よりも食い気味に「リサン・アルガイブ!」というシーンもたまらない。

新しい皇帝となったポールに皇帝含めたみんなが膝まづく中、ジェシカ、イルーラン、チャニの3人の女性キャラクターが立っていたのが印象的。

〇ハルコンネン家とその領地ジェディ・プライム
黒い太陽と汚い花火の色の無い世界。これだけで一本撮れるくらい完成度が高い。
フェイド=ラウサ役のオースティン・バトラーはスキンヘッドにしたことで頭の形の綺麗さが良くわかり、ハルコンネンのコスチュームもよく似合う体格で、美形すぎてとても叔父さんと同じ一族とは思えず、即退場する悪役にはもったいない。そんな叔父さんとぶっちゅーして真顔でこちらを見つめるシーンはインパクトが強かった。しかも2回いく。
何十世代にも渡り歴史の裏で暗躍してきたベネ・ジェゼリットの手口が見れた。ここは納得の配役で短い出番ながら印象付けたレア・セドゥ。こんな官能的なアプローチをされたらひとたまりもない。
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