むぅさんの映画レビュー・感想・評価 - 6ページ目

17歳の瞳に映る世界(2020年製作の映画)

4.2

彼女の瞳に映る世界に、その人はもういない。

描く価値もない。
そう監督は思ったのかな、と。
さすがにそれは言い過ぎだと自覚があるが、
17歳の少女の望まぬ妊娠と中絶
そこのみにフォーカスを当てるこ
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ヘイトフル・エイト(2015年製作の映画)

3.6

【ぜんぶ雪のせいだ】

映画を観る→睡眠→観た映画についてごちゃごちゃ考えながら支度→通勤中にぽちぽちレビューを打つ。
何となくそんなルーティーンになっていたこの頃。スルッと文章を続けられる冒頭の1文
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少年の君(2019年製作の映画)

4.8

視線は時に暴力になる。

それを言ってしまえば、言葉だってもちろんそうだ。
けれども、とにかく視線の暴力性を感じる今作。

ニヤニヤしながら交わされる視線
蔑むような視線
興味本位で向けられる視線
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悪なき殺人(2019年製作の映画)

3.7

「この出会いは偶然じゃないよ、必然なんだよ」

イケメンが私を見つめながら、そう言った。
(どひゃー)
そんな事を真顔で言われる日が来るとは。
けれども、イケメンは上司。その出会いとは、なかなかに苦戦
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サイダーのように言葉が湧き上がる(2020年製作の映画)

3.6

「家でテレビ見るとかじゃなくて、本読んでそうなとこが良いんだよ」

小6の私は雷に打たれた。
"何それ!言われたい!"
山田詠美の『放課後の音符』を読んでいて出会った。
歌詞でも、映画でも、雑誌のタイ
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THE 有頂天ホテル(2005年製作の映画)

3.9

「ドーピングしました!」

大好き過ぎる4人での忘年会。
コロナ禍もあり4人で集まる機会は減ったものの、会うと楽しすぎて飲み過ぎて、誰かしら毎回記憶があやふやになるので、毎度忘年会と言えば忘年会だ。
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最後の決闘裁判(2021年製作の映画)

4.4

「昔はクリスマスケーキだったけど、今は年越し蕎麦でしょ?」

女性の年齢の話である。
『空白』を観て、攻撃的ではなく穏やかなコミュニケーションを取ろうと思ったばかりだった。
「(化石かな?宇宙人かな?
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空白(2021年製作の映画)

4.3

まぁるい言葉で話したい。
出来れば、どんな時も。

でも、それは私には大切な人を"誰か"や"何か"に奪われる経験がまだないから言える事だと思った。

古田新太演じる娘を失った添田と、松坂桃李演じるその
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浅草キッド(2021年製作の映画)

3.8

[秘すれば花なり]

"芸事"と聞くと、この言葉を思い出す。
芸道の秘伝というものは、秘して他人に知られないことにより最大の効果を発揮するものである。
種明かしをしてしまうと必ずしも深遠なものではない
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キングスマン(2015年製作の映画)

3.9

お寿司が半額になっていたので、ルンルンしながら買って帰った。

帰宅してから気付く。
スーパーに寄ったのは、クリーニングを取りに行くため。
そんな簡単なミッションさえ、うっかり忘れる私はスパイにはなれ
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潜水服は蝶の夢を見る(2007年製作の映画)

3.9

「最後まで読んでから言いなさい」

「つまんないんだもん」
読みかけで放ったらかしていた小説。父にそう言われた。
「つまらないと思う事も大切。でも、それは最後まで読んでから言うべきだとお父さんは思う」
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夜は短し歩けよ乙女(2017年製作の映画)

4.0

「恋はサブリミナル!」

視界にそれとなく入っていたら"サブリミナル効果!"という勘違いのもと、斜向かいの飲み屋の副店長の視界に入るべく、箒とちりとりを手にバイトしている店の前だけでなく、ちょっと先ま
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秘密と嘘(1996年製作の映画)

3.6

アドリブが利くタイプでありたい。

接客業なので、脚本のない日々を"演じて"いる。
そのお客様の物語をチラッと通る脇役、エキストラ。
お客様の数だけ、またその時のお客様の気分の数だけ、求められる"役"
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遊星からの物体X(1982年製作の映画)

3.9

「ダメだったら食べてあげるよ」

職場の飲み会で牡蠣を注文する流れになった際、実は苦手ですと言うと上司がそう言った。
幼少期、父があたってるのを見てから"食わず嫌い"していた。
その前の会議で[歓迎す
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東京ゴッドファーザーズ(2003年製作の映画)

3.9

誰かのために全力疾走したのは、いつが最後だろう。

"友達は自分で選べる家族"
『ザ・ピーナッツバター・ファルコン』で、その言葉に出会った。
だとしたら、私は大家族だ。

クリスマスの東京。
ギン、ハ
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霧の中の風景(1988年製作の映画)

4.2

そういえば最近、霧を見ていない。

坂の上に住んでいた幼い頃、少し先も見えないような濃霧を見た。
坂を下れば着く学校が消えて、違う世界に行けそうな気がした。
不安や期待を感じる不思議な世界が薄らいでい
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息子のままで、女子になる(2021年製作の映画)

3.5

「男の子産んだと思ってるから」

手伝いなどせず、家にランドセルを放り込んで自転車で遊びに行く私に母はそうボヤいていた。
私の性自認が男性だったら、もしかしたらそれはとても残酷に響いたかもしれないと思
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戦艦ポチョムキン(1925年製作の映画)

3.8

目は口ほどに物を言う。

以前の職場で私史上最高早口な方と出会った。一緒に働くうちに、忙しい時は話しかけられるよりも、アイコンタクトの方が意思疎通の確率が上がるという事態が発生した。
言葉は大切にした
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(1963年製作の映画)

3.8

食べ物の恨みは怖い。

海でBBQをしている時に肉を奪って行ったトンビは許すが、鴨川沿いで豆大福を奪ったトンビの事は根に持っている。
本当に食べたかったなら許さない事もないが、絶対豆大福そんなに好きじ
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ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ(1998年製作の映画)

4.1

シネマカクテルフェス

明るい爽快感とグレープフルーツのほろ苦さ、時々失敗して塩がやたら効いちゃう一口になるところ含め"ソルティ・ドッグ"

バーで他の方が飲んでるのを見て、それどうやって飲むんだ?と
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キャラクター(2021年製作の映画)

3.7

『セブン』か?

オープニングがおそらく『セブン』のオマージュになっている。

「もう一滴も出ない!」
学生時代、演劇部だった。
スタッフの私が部室で作業をしていると、横にいた脚本・演出の先輩が叫んだ
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サンタクロースになった少年(2007年製作の映画)

3.9

「時代すぎるんだよ...」

学生時代のバイト先の店長だった方からボヤくLINEがきた。
聞くと、小1の息子さんが「サンタさんを見たいから監視カメラのアプリをスマホに入れて。で24日の夜はスマホ貸して
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最愛の子(2014年製作の映画)

4.1

絶対に憎んだりなんて出来ない。

もし私の両親が誘拐犯だと知らされたとしても、2人への愛情は変わらない。感謝の感情も形を変えるかもしれないが消えない。
そう思った。
でもそう思えるのは、私がもう大人で
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駅馬車(1939年製作の映画)

3.9

に、人間ってことでよろしいか。

「お、起き上がった!」
馬に乗った人達が馬車を追いかける凄まじいアクションシーン。
次々に馬から馬へ飛び移ったり振り落とされる人を観ながら、普段は全く気にしないカット
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バグダッド・カフェ 完全版(1987年製作の映画)

4.3

SMAPの「SHAKE」の気分だ。

会いたいと思っていた人から連絡がきたような。
"テレパシーみたいで嬉しい"

今の自分にピッタリの映画だった。どんな映画でも"出会い"だと思うようにしているけれど
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461個のおべんとう(2020年製作の映画)

3.7

何と言っても"フレンチトースト"

映画で父が子に作ると言えば、私は『クレイマー、クレイマー』のフレンチトーストが1番に浮かぶ。

「3年間毎日お弁当を作る」
「3年間休まず学校へ行く」
そんな約束を
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映画の妖精 フィルとムー(2017年製作の映画)

3.8

"ラピュタパン"のあれが出来ない。

先日、金曜ロードショーで『タイタニック』が放送された後、公園で男子高校生達がキャッキャしながらすべり台の上で確実にあのポーズをとっていた。可愛い。

私の映画の憧
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ウトヤ島、7月22日(2018年製作の映画)

3.8

長かった。

退屈だからではない。
2011年7月22日ノルウェー ウトヤ島で起こった72分の出来事を擬似体験させられる造りになっている。
私もウトヤ島にいて、ただ逃げ回るしかない72分。
自分の部屋
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ナイトクローラー(2014年製作の映画)

4.1

「"勧善懲悪"ですよね」

職場でドラマの話をしていた。
『MIU404』が面白いという流れから今作の話になった。特派員RECという『ナイトクローラー』を意識しているであろうキャラクターが出てくるから
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キルトに綴る愛(1995年製作の映画)

3.9

手仕事の"絵"から始まる映画が大好き。

それぞれがキルトに愛を"綴る"ように想いを込めて縫っていく。
そんな物語なのに、冒頭のシーンが生地を裁断するところから始まった事が観終わってから何だか心に響く
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エデンの東(1954年製作の映画)

4.2

「遺伝において劣性は優性です」

顔は母、運動神経は父に似たかったのにとボヤいた小学生の娘に我が母はそう言い放った。
今なら顕性・潜性と言うのだろうが、なかなかにパンチのあるお言葉だった。

「お父さ
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ドリーム(2016年製作の映画)

4.1

「珍しいね、苗字みたいな名前」

久しぶりに"寄り道ビール"をしていたら、お隣にいた年上の男性に
「名前教えてよー」
と言われたので
「◯◯です」
とお答えしたところ、そう返ってきた。
そりゃそうだ。
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めまい(1958年製作の映画)

3.9

蓮の花托を見た時の衝撃は忘れない。

世の中には色々な恐怖症があるのだと知った。
高所も閉所も先端も大丈夫だが、私は集合体が無理だ。
「う!」
「(ぞわぞわっ)」
「おぇ」
「きえーっ!」
というよう
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TOVE/トーベ(2020年製作の映画)

3.9

「意気地のない弱虫って、自分のした悪いことを隠して人を騙すことだよ」

確かこんなような事をスナフキンが言っていた。
ムーミンの小説を読んでいて、そうスナフキンに言われ、
「これ読んだら買ってあげても
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パリのランデブー(1994年製作の映画)

3.9

「二度とこの人には恋愛相談しないって思ったんスよ、あの時」

数年前のクリスマス間近。
学生のアルバイトくんが
「俺、彼女2人いるんスけど。プレゼントとかレストランとかめんどくさいんで、毎年クリスマス
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サンセット大通り(1950年製作の映画)

3.8

華やかさと孤独はきっと対。

強い光を浴びて多くの人に見られる仕事ほど、勝手に"潮時"を決められ、"引き際"の様を見られるものなのかもしれない。
仕事ではなくその中の業務において引き際や潮時はあるが、
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