ryoさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

MONK モンク(1968年製作の映画)

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ピアノソロを弾くべきところで立ち上がって、その場で踊りながら回転するモンク。踊るように弾く、弾くように生きるモンクのシンプルな肖像。これはもう被写体の魅力だけで成り立っている作品と言っていい。
煙草を
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洲崎パラダイス 赤信号(1956年製作の映画)

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川島雄三は人間のさびしさとたくましさをほんとうによく知っているひとだ

浅草キッド(2021年製作の映画)

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芸人賛歌。役者陣の演技のすばらしさに比して、特に前半、そのカット割りは必要でしょうか、わかりやすさを狙って映像や演技の流れを崩してやしないか、という幾度かがありつつも、ラストシーンの後ろ姿ではわりとグ>>続きを読む

喜劇 とんかつ一代(1963年製作の映画)

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見どころしかない。いやホント。喜劇かくあるべし。
DVDを貸してくれた友人に感謝。

エル・トポ(1970年製作の映画)

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ホドロフスキー、何に付き合わされているんだ…と思うところしきりなのだがぜんぜん嫌いになれない。彼が本気で信じている人だからなのだと思う。

黒薔薇昇天(1975年製作の映画)

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海が近い、どこかうらぶれた旅館の一室でのブルーフィルムの撮影風景。内幕もの。撮影班に扮した役者たちと実際の撮影班がそこにはいることになる。男女が絡む寝台の床はガラス張り、下を仰向けで通り抜けるカメラが>>続きを読む

まわり道 4K レストア版(1975年製作の映画)

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奇妙な道連れ。ペーター・ハントケ。ナスターシャ・キンスキー。

そして人生はつづく(1992年製作の映画)

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・カメラによって「眼差す」ことそのもののような映画。《友だちのうちはどこ?》の出演者の安否を確かめる、という枠としての設定、カメラとスクリーンという「窓」を通じて、観客は1990年のイラン地震の被災地>>続きを読む

姑獲鳥の夏(2005年製作の映画)

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京極夏彦と実相寺昭雄の相性のよさ、と思った記憶。原作の、現実感が遠のくような夏の風情に、実相寺の独特なテイストがぴったりでとても良かった。堤真一の京極堂、現と夢を行き来するような(『杳子』の「彼」)寄>>続きを読む

サンダカン八番娼館 望郷(1974年製作の映画)

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“おサキさん、皆は日本に背ば向けて眠っとらすと”。
「からゆきさん」という存在。天草のあばら屋、ボルネオの布団、物語ることと待つこと。「望郷」という言葉に込められた皮肉。
栗原小巻の知性、高橋洋子の蓮
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ユリシーズの瞳(1995年製作の映画)

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「マナキス兄弟の未現像のフィルム三巻」。
失われた起源への遡行の旅は、しかし同時に現在の動乱の渦中を、歴史の傷口としての国境を経めぐる、緊張を孕んだものでもあった。ギリシャからサラエヴォへ(サラエヴォ
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エノケンのちゃっきり金太 前篇(1937年製作の映画)

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エノケンの「体技」。飛び上がって逃げるバネの素晴らしさ、所作は日本人離れしており、チャップリンやキートン直系のもの。フィルムの散佚が惜しい。『日本の喜劇人』で映画の存在を知ったけど、黒澤明が助監督とは>>続きを読む

鴛鴦歌合戦(1939年製作の映画)

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マキノ正博、宮川一夫の手がけた戦前トーキー、元祖和製時代劇ミュージカル、おまけに片岡千恵蔵と志村喬(みな三十代)! 面白かった。1945年以前の日本の豊かさ。
弟子筋の岡本喜八に受け継がれていくマキノ
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空白(2021年製作の映画)

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必要な丁寧さと突き放すべきところは突き放す残酷さをもって、ある事件とその関係者の顛末とを見事に描き切ってみせた秀作。現在僕等がどういう場所にいるのかを考える上で大切な映画のように思う。救いはお仕着せの>>続きを読む

家族ゲーム(1983年製作の映画)

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頭のおかしい、すこぶる笑える、素敵に不穏な映画だった。1983年。
船に乗ってやってくる異人としての松田優作、伊丹十三の怪演と目玉焼き、食事音へのこだわり(BGMの徹底的な排除)、団地の異様な空間性を
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娘十六ジャズ祭(1954年製作の映画)

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シネマヴェーラ新東宝特集にて。雪村いづみとフランキー堺が目当てで、二人はやはりすばらしかったのだけど、モタつくのも芸のうちのロッパと開き直ったように明るいキンゴローの、メタ的な視線も少し入った(偏屈!>>続きを読む

愛のコリーダ 修復版(1976年製作の映画)

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画もBGMを使わず作られたテンポもいい、女の欲望をきちんと描いていて、エロスの向こうにタナトスが見える

海辺のポーリーヌ(1983年製作の映画)

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海辺の他愛ない痴話喧嘩が魔法のように美しく映像になる、紫陽花もキャラクター同士の均衡も海辺の風景もボートの綱を引く身体とともに傾くカメラも何もかもすばらしい

ポーリーヌの佇まい、眼差し、距離感がこの
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愛の昼下がり(1972年製作の映画)

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・妙な電子音から。1972年。読書と浮世離れ。妄想癖。
・距離感の変化。この映画は(も)、たとえ一切の言葉が判らなかったとしても、人物同士の距離感の変化と表情、眼差しを追うだけで何が起きているかおおよ
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太陽の季節(1956年製作の映画)

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欠点も少なくないが、あるトーン、温度、時代相を切り取った作品としては面白い。佐藤勝の音楽が季節の風を吹かせている。ボクシングとヨットと執着できない恋愛。一つの青春。老いられないもの。
南田洋子と岡田真
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博奕打ち 総長賭博(1968年製作の映画)

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友人との酒の肴に…と思って流したら、若山富三郎の登場あたりから二人ともぐっと引き込まれて、結局最後まで観切ってしまった。山下耕作の無駄のない画作り、歌舞伎で言えば「辛抱立役」を演ずる鶴田浩二の表情の素>>続きを読む

血と砂(1965年製作の映画)

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昭和二十年北支戦線。戦場の「聖者の行進」。ディキシージャズ。楽器は持っても鉄砲は持てない、音楽学校を出たての少年兵たちを率い、三船演ずる小杉曹長が絶望的な“ヤキバ”奪還作戦を行う。“お春さん”団令子、>>続きを読む