ryoさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

シン・エヴァンゲリオン劇場版(2020年製作の映画)

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あの旧劇に至るエヴァを作ってしまった庵野秀明が「凡庸な」傑作を作りおおせたということに感動して、しばらく座席を立てなかった

キング・オブ・コメディ(1983年製作の映画)

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彼は正気であるか狂気であるか。狂気であるとすれば、その狂気を生み出したのは何か。哀しい映画だった。Fameというもの。《シカゴ》。

友だちのうちはどこ?(1987年製作の映画)

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宿題のノート。教室の息苦しい磁場。所得の多寡や生活水準、宗教、周辺国との関係(アハマドの爺さんの戯言の中で示唆)によって、大人と子どもの関係や距離感はそれぞれの場所で変わってくる。とはいえ、フランスで>>続きを読む

シェーン(1953年製作の映画)

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正しい西部劇。
1953年、シネスコという武器を得て、酒場での殴り合いや早撃ち、開拓地の風景など見どころは多いが、やはりラストの「シェーン!」の呼び声が耳に残る。

西部劇において保安官やカウボーイで
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しとやかな獣(1962年製作の映画)

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晴海団地の一室を舞台にしたグランドホテル形式の佳作。監督川島雄三脚本新藤兼人、登場人物全員小悪党のブラックコメディ(ポツドールの芝居をちょっと彷彿)。形式的にも能の囃子から始まる演劇的作品だが、ディー>>続きを読む

市民ケーン(1941年製作の映画)

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観てなかった名作シリーズ。映画が〈編集された〉時間と空間を縦横に駆使するようになった記念碑的作品。いま観て「共感できる」或は「面白い」作品ではない。しかし手法や工夫の数々はbasicなものとして後世に>>続きを読む

揺れる大地(1948年製作の映画)

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貧しさを撮るヴィスコンティ。ネオ・レアリズモ。カメラは記録の道具であり、映画は抵抗と変革の狼煙でもある。

港の喧騒。波に負けんと張り上げられる人間の声。果物売りの少年の声。

絹のスカーフを目の前に
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花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)

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例えば、じゃんけんという特殊限定的なものを疑いなく「人類」の主語で語るモノローグに、この作品が描くリアリティの狭さ、狭さのリアリティが象徴されていた。前半の小賢しめのモノローグの多用、川村元気的に畳み>>続きを読む

リオ・ブラボー(1959年製作の映画)

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歌って踊って大爆発、わくわく青春西部劇

《真昼の決闘》の反対に行こうとすると保安官が揺るがない「父」になるので悲劇的ドラマにはなりようがない、喜劇的にならざるをえない

家族の肖像(1974年製作の映画)

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おそろしいものを観た、ヴィスコンティの業、そして70年代の既存の秩序や美意識の滅びと新たなものの蠢動(それはシェイクスピアにとっての1600年前後だったかもしれないし、トマス・マンやチェーホフにとって>>続きを読む

夏の嵐(1954年製作の映画)

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戦争と恋。爛熟し、頽廃し、病んだロマン主義。ブルックナー7番。

1866年、オーストリア占領下のヴェネツィア。フェニーチェ歌劇場での《Il Trovatore》と舞い散る色とりどりのビラ。(劇場とい
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魂のジュリエッタ(1964年製作の映画)

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フェリーニ初のカラー映画にして、妻ジュリエッタ・マシーナを主人公に起用した、前作《8 1/2》のB面的映画。

人生を要約しようとする悟性的-意識的-言語的な欲望に抗うものとしての、官能、色彩、不安、
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ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ザ・ウェスト(1968年製作の映画)

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西部劇の到達点、と友人に言われて観た。言に違わぬ傑作だと思う。
マカロニ・ウエスタン。イタリアで作られた西部劇。傍目八目、事の本質は当事者より第三者によってよく理解されるということはあるのだろう。西部
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桜桃の味(1997年製作の映画)

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全部の画がよかった、イランの風景が、ということもそうだけど、必要のない画がひとつもなく、常に適切な距離にカメラが置かれている、という感じがした。
交差する視線をカメラは撮れない、と誰かが書いてたけど、
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天国にちがいない(2019年製作の映画)

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「パレスチナ」という固有名詞そのものがもつ重さや、解像度の高すぎる映像が観るものに感じさせる現実感のなさを逆手にとった、神なき時代のシュールなコメディ。
勝手に庭で収穫し、剪定し、水やりをする隣人。全
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子連れ狼 三途の川の乳母車(1972年製作の映画)

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バイオレンス潮干狩り
成長した大五郎の大活躍が見られて満足です

子連れ狼 子を貸し腕貸しつかまつる(1972年製作の映画)

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世界観がよい、拝一刀と大五郎の組み合わせがもう面白い、エログロバイオレンスはエンタメの基本
若山富三郎の刀捌きがすばらしいので無音で見せてくれるのは普通によかった
介錯……拝む……刀……で場内にどよめ
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ダゲール街の人々(1976年製作の映画)

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ダゲール街とステレオタイプでダゲレオタイプ、でもある。大時代的なマジシャン、町の香水雑貨屋さんと「恍惚の人」、肉屋の手つき。

落穂拾い(2000年製作の映画)

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チャーミングなドキュメンタリー。
大量生産大量消費を前提として成り立つパリという都市の論理、交換の原則からはぐれた人々が、路上に捨てられ、意味を喪いかけているものたちを生活のためにかがんで拾うその仕草
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オール・ザット・ジャズ(1979年製作の映画)

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ボブ・フォッシー自身の自伝的な作品、しかしおよそ自伝というにはメタ物語的すぎ、死の匂いに充ち過ぎている。フェリーニの影響を大きく受けており、実際それは《8 1/2》のミュージカル版を映画化したロブ・マ>>続きを読む

真昼の決闘(1952年製作の映画)

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ゲイリー・クーパー、グレース・ケリー、ケティ・フラド、リー・ヴァン・クリフ。

孤独で不器用な、苦悩する保安官。正午の電車の到着を一つのメルクマールとして、85分がほぼリアルタイムで進む、その後の西部
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セノーテ(2019年製作の映画)

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体験する映画、見えることの不思議に搏たれ続ける映画だった。劇場の暗闇が次第に親密な、懐かしいものになっていく感覚。

潜る深い泉(セノーテ)の水中に投影されるライト(前作《鉱》では炭鉱夫達のヘッドライ
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駅馬車(1939年製作の映画)

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大傑作。ドラマとしても活劇としても。洗練された台詞の応酬、表情の演技、襲撃のシーンの馬の運動感覚。