ausnichtsさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

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PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

4.0

ヴィム・ヴェンダース監督は、この映画をドイツ人監督が撮ったと思いますかと言っていますが、この映画を撮れる日本人監督はもういないかも知れません。

ひとつは監督が見ている日本はもうないということと、もう
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ファースト・カウ(2019年製作の映画)

3.0

ケリー・ライカート監督、かなり評価の高い監督のようですが、多分初めて見ます。

率直なところ、スタンダードサイズの選択も、画の暗さも、どういう意図なのかよくわかりません。集中力が続きません。

ただ、
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アダミアニ 祈りの谷(2021年製作の映画)

3.0

ジョージアの映画はそれなりに注目して見ていますので、期待を持って見たのですが、紹介以上のものはない映画かと思います。

ジョージアのパンキシ渓谷で暮らすキストと呼ばれるチェチェン系ジョージア人の暮らし
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ティル(2022年製作の映画)

3.0

アメリカで100年以上成立が阻まれてきた反リンチ法が2022年に成立、その法律に名前が冠された14歳の黒人少年エメット・ティルの殺害事件を描いた映画です。

人種差別が描かれますので胸糞悪くなる映画で
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ポトフ 美食家と料理人(2023年製作の映画)

3.0

トラン・アン・ユン監督、7年ぶりの映画は19世紀末の美食家の美食映画です。

確かに冒頭から30分か40分にも及ぶ美食のシークエンスは美しく見応えもありますが、それを見ればもうこの映画を見たに等しいと
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VORTEX ヴォルテックス(2021年製作の映画)

4.0

私の映画レビューサイトではおすすめ映画に入れていますが、決して楽しい映画ではありませんし、人によっては内容以前に見ることそのものに苦痛を感じるかもしれません。また、配信やDVDで見るのはやめたほうがい>>続きを読む

マエストロ:その音楽と愛と(2023年製作の映画)

3.0

レナード・バーンスタインの音楽的ではない、私生活の伝記映画です。

ただ1ヶ所、1973年にイギリスのイーリー大聖堂でロンドン交響楽団を指揮して演奏したマーラーの「復活」の一部がほぼ完コピされており、
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市子(2023年製作の映画)

2.0

最近の邦画のパターンで、物語をつくることにしか興味がいっていない、つくり手のあざとさだけが目立つ映画です。

○〇〇状態の市子がたどる人生を描こうとしているのですが、ありきたりとも思える事件をモザイク
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父は憶えている(2022年製作の映画)

3.0

キルギスのアクタン・アリム・クバト監督です。

過去の作品「明りを灯す人」「馬を放つ」を見てきた感想としては、変わりゆくキルギス、荒廃するキルギスを憂慮する監督の思いを感じます。

監督自身、この映画
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MY (K)NIGHT マイ・ナイト(2023年製作の映画)

3.0

中川龍太郎監督ということで内容も知らずに公開数日前にポチッとしておいて、いざ見てみたらびっくり!EXILEからのオファーでしょうか。

このベタな話を苦肉の策なのか、ウォン・カーウァイ風映像で遊んでい
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リアリティ(2023年製作の映画)

3.0

よくできた再現ドラマって感じです。

この映画の前に同じ題材同じ手法の舞台劇を作っているティナ・サッターさんの初映画監督作品ということです。なにせFBIの尋問から逮捕の瞬間ですからそこそこ緊迫感はあり
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ゴーストワールド(2001年製作の映画)

3.0

「普通」を拒否するイーニド「普通」になっていくレベッカ。2001年のアメリカではイーニドには希望は見いだせなかったらしい。おそらくそれはイーニドが中年の男たちが持つティーンの女性の虚像だから。イーニド>>続きを読む

ぼくは君たちを憎まないことにした(2022年製作の映画)

3.0

愛するものを失ったつらさが描かれている映画です。

映画としては実話ベースであることの窮屈さを感じます。特に後半は「憎しみを禁じている」がゆえなのか最後まで悶々とするシーンの連続ですのでちょっとつらい
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ファンファーレ(2023年製作の映画)

4.0

マイナーなアイドル映画にみえますが(ゴメン)これが結構見ごたえのある映画です。ただし、物語の面白さを期待せずにみればです。

内容に反して(ゴメン)、大人の鑑賞に耐える映画です。

吉野竜平監督の構成
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モナ・リザ アンド ザ ブラッドムーン(2022年製作の映画)

3.0

見終えてレビューを書いている最中にデビュー作「ザ・ヴァンパイア 残酷な牙を持つ少女」も見ており、さらにベタ褒めしていることに気づいたという自分のお粗末さ。

そのレビューはこちらです。
https:/
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サタデー・フィクション(2019年製作の映画)

3.0

ロウ・イエ監督らしくない映画ですね。

薄っぺらいシナリオゆえの苦肉の策でしょうか。動き回る手持ちカメラ、細かく切り刻まれた編集、だけどそれじゃあスパイアクションものにはなりません。

モノクロで撮っ
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蟻の王(2022年製作の映画)

3.0

この映画をありきたりな同性愛悲恋物語と見るのはちょっと残念。

たしかにアイーダの「あなたを愛するために私はあなたを殺します!」で終えてはいますが、アルドを知性の塊のように描いていることからすれば、知
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理想郷(2022年製作の映画)

3.0

ちょっともったいぶりが過ぎるかなあという印象です。

サスペンス風につくられており、殺人も起きますし、その犯人もわかっているのですが、映画はそんなところに興味はないよと言わんばかりに、映画中頃、ああ、
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正欲(2023年製作の映画)

1.0

あってはいけない感情はない、そりゃそうだけど小児性愛はどうするの? この映画はその問いに答えられるんでしょうか。

映画自身がそれを投げかけているわけですから、それに答えようとしなくてどうするのと思い
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栗の森のものがたり(2019年製作の映画)

3.0

屋外の映像は印象派風、室内はバロック期のフェルメールやレンブラント風という映像が美しい映画です。

そこで繰り広げられる人間模様は悔恨の物語でしょうか。

唐突に登場する「東方の三賢人(東方の三博士)
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私がやりました(2023年製作の映画)

3.0

前半はややもたつきがありますが、後半イザベル・ユペールさん登場とともに一気にペースアップでラストまで突っ走ります。

1930年代風スクリューボール・コメディの台詞劇ですのでフランス語がわかれば面白さ
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ラ・ボエーム ニューヨーク愛の歌(2022年製作の映画)

1.0

こんな映画をミュージカルだなんて売ったら、ますますミュージカルやオペラを敬遠する人が増えるだけだと思いますけどね。

そもそもミュージカルではなく、プッチーニのラ・ボエームを現代のニューヨークで歌って
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ザ・キラー(2023年製作の映画)

3.0

ほぼ全編モノローグ映画です。

マイケル・ファスベンダーさんのナレーションが小説を読むように流れるように耳に入ってこないとストーリーはわかるにしてもデヴィッド・フィンチャー監督の意図を理解するのは難し
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SISU/シス 不死身の男(2022年製作の映画)

3.0

男が「あの男は不死身なのか?」と尋ねますと女が「ただ死なないだけ」と答えます。

なにー?!死なないのかよー。

「he just refuses to die.」直訳しますと「彼はただ死ぬことを拒否
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ABYSS(2023年製作の映画)

2.0

「逆光」にはいい記憶が残っているのですが、これはかなり厳しいです。

ボーイ・ミーツ・ガールというありきたりのドラマパターンを使うのなら新鮮さがないと駄目ですし、それにシナリオがかなり雑です。家族の関
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悪い子バビー/アブノーマル(1994年製作の映画)

3.0

1993年製作の映画ですが内容には古さを感じません。

十字架上のイエス像を前にした近親相姦や父親を聖職者にしつつも俗物しているところ、そして、流れからするとかなり異質な科学者の宗教問答のシーンがテー
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愛にイナズマ(2023年製作の映画)

3.0

軽やかに物語進めるところなどは石井裕也監督らしい映画でとても面白いです。

俳優も皆うまく、松岡茉優さんと窪田正孝さんのバーのシーンは必見です。

気になるのは、業界のウラ話的な前半がややあざとく感じ
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私はモーリーン・カーニー 正義を殺すのは誰?(2022年製作の映画)

2.0

イザベル・ユペールさん、出ています!としか宣伝できない映画です。

内部告発した秘密契約も曖昧、暴行事件も曖昧、自作自演と認めたことも曖昧、冤罪かどうかも曖昧、何を描こうとしたのでしょう?

「私はモ
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ヨーロッパ新世紀(2022年製作の映画)

4.0

クリスティアン・ムンジウ監督は、実際にルーマニア トランシルヴァニア地方で起きた「2020 Ditrău xenophobic incident(ディトラウ排外主義事件)」を描きながらも、マティアスと>>続きを読む

メドゥーサ デラックス(2022年製作の映画)

3.0

トレーラーと本編の違いにびっくり!ですね。

本編はミステリーというわけではなくヘアスタイリストたちの人間生態学的考察(笑)とワンショット手法が売りの映画でした。

エンドロールのディスコダンスシーン
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シック・オブ・マイセルフ(2022年製作の映画)

3.0

この手の映画に求められる突き抜け感がないのですが、どことなく魅力を感じる映画です。

ノルウェー映画です。ホラー?コメディ?アイロニカル?と最後まであまりはっきりしないのが残念です。

すでに次作がA
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キリエのうた(2023年製作の映画)

3.0

この映画の軸となっているのは音楽ではなく、2011年3月11日の何ヶ月前から始まる感傷的な過去の物語です。それをあらためて時系列で見直してみますとかなり雑な物語であることがわかります。

おそらく路上
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(2023年製作の映画)

3.0

石井裕也監督渾身の社会派映画か、とも言える強い思いを感じはしますが、原作にはないと思われる洋子を創作したことが大きな間違いです。

真正面からさとくんを描くべき題材です。

あなたは現実を見て見ぬふり
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アンダーカレント(2023年製作の映画)

3.0

映画の内容的にも、カットの間合いの長さやフェードアウトや黒味が多いなどの手法的にも140分は無理です。

アンダーカレントとは下層の水流、底流、表面の思想や感情と矛盾する暗流という意味らしいのですが、
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燃えあがる女性記者たち(2021年製作の映画)

3.0

2002年インド北部のダリトの女性たちが立ち上げた新聞カバル・ラハリヤ、現在はデジタルメディアとしてさらなる挑戦を続けているようです。その取材スタンスはジェンダーや社会的弱者に軸足をおいた地域密着型で>>続きを読む

白鍵と黒鍵の間に(2023年製作の映画)

3.0

南と博の二役の発想は面白いです。ただ、もう何シーンか交錯するシーンがあればなお良いかと思います。

題材自体はかつてのオンシアター自由劇場がやりそうな演劇ネタで面白いのですが、シーンそのものも編集も間
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