かなみさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

かなみ

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蜘蛛巣城(1957年製作の映画)

4.2

予言という蜘蛛の巣に絡め取られる。

黒澤明がいかに唯一無二の天才であるか知らしめる作品。黒澤明は日本版マクベスを完全なる形で作り上げた。
凄まじい気迫、画面の力強さたるや、能面の芸術としての性質を完
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ブエノスアイレス(1997年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

ストーリーの行き当たりばったり感が勿体なく感じた。しかしシーンやショットの単位で見ればどこまでも惹き込まれる美しさ。色相が素晴らしい。作品からはアジア特有のスパイシーで湿った空気感がする。

哀しみのトリスターナ(1970年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

曇天に包まれた世界

トリスターナにおける白い服とと黒い服の対比は顕著である。無垢で清純、神格的な姿を形作る白。彼女自身の自我、自由意志の黒、そして彼女の性的な要素を象ったブラウン。
映画の前半はトリ
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理由なき反抗(1955年製作の映画)

3.6

周りに許容されないジェイミー。
子供から見た両親のエゴの残酷さや、若さゆえの蒙昧で内省的な享楽に身をやつしてしまう愚かさ。何故理由がないのか、それは未来を見据えない「明日は死んでしまうかもしれないから
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一晩中(1982年製作の映画)

3.7

夜の徹底したコントラストの描写は男女の深い抱擁を照らしだす。観客はあくまで舞台装置としての定点カメラでしか彼らを見ることは許されない。暗い夜に消えてゆく人々にに置いてかれるばかりである。

ピクニック(1936年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

都会と田舎の滑稽さが交互に浮上する。華やかで軽やかで優雅にも見えるが常に蒙昧で浮かれているさまが鼻につく。田舎者は無知で勝手だ。
草むらの自由で自然的なさまや、都会から来た家族の華美で放恣な様子、絵画
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女は女である(1961年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

放恣で直截的なアンナ・カリーナの軽やかさとゴダールの自由なアーティスト性が、いつまでも永遠に朽ちることのないシネマという形の中でミュージカルを作り上げている。なんてフェティッシュな作品なんだ。
ブツ切
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女が階段を上る時(1960年製作の映画)

4.0

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幻惑的で酩酊感漂う世界
旦那の骨壷に手紙と写真を入れた女の、毅然としていて気品に満ちた淑女のその姿が惨めで淋しくて切なく瓦解していく。鬱陶しいと引きばかすことも可哀想だと同情を寄せることもはばかられる
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映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ(2016年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

邦画って感じの東京の湿度と長たらしいセリフ
文学まがいで叙情的すぎるクサいセリフもこの映画の中だからこそ悪く働かず成立していた。一見斜に構えているようにも見えるけど馬鹿で寂しがりなだけの登場人物たちが
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エレファント(2003年製作の映画)

3.3

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異質で不穏な空気感が出したい、けど失敗したという映画。悪い意味で淡々としてる。
カメラワークの意図は分かるけどほんとにそれでいいのか?場面構成やショットの繋ぎが悪い意味で違和感しかなくて、話としてまと
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情事(1960年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

哀れ!海とリンクして心象を映し出すような演出が美しかった。まさしく愛の不毛。

オリーブの林をぬけて(1994年製作の映画)

4.0

イランの乾いた空気と雄大な大地からなる広大な緑 爽やかで柔らかな世界と鮮やかな衣服に身を包んだ人々の対照が印象的。どこかマイルドでくすんだオリーブの緑は、白を紛れさせてて、際立たせて映し出す。
いっと
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驟雨(1956年製作の映画)

3.9

軽やかでコミカルで程よく心地よい。ラストの紙風船がすべて
不幸によって軋む。成瀬巳喜男の描く人妻は愛らしくて好き。個人的には「めし」より好きかも 皆ただひたすらに隣の芝は青く見える

忘れられた人々(1950年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

ネオレアリズモ映画は本当に気持ちが暗くなる。
貧困は人を狂わせる。どうか全ての人に豊かな生活を、と願わせるのでなく、この貧困の余波がいつまでも訪れませんように、と願わずにはいられない。弱い小さな子供の
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狂った果実(1956年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

「背徳の世界に 乱れ狂う 若さ若さ若さ」という予告編の謳い文句、まさしくこれ。

甘く開放的だが関係は若さによる浅慮でどこまでも馬鹿馬鹿しく滑稽な姿へと変容する。夏の塩気たっぷりの湿気と肉体的な女から
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フローズン・タイム(2006年製作の映画)

3.6

感覚的な時間についての挑戦
女性の肉体美という要素が時間を主軸とした映画のテーマを阻害することなくギリギリのバランスで成り立っている。
イギリス映画っぽいコミカルで皮肉な滑稽さがありなからも直接的な
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アンダーグラウンド(1995年製作の映画)

3.4

戦争の時代を喜劇的に騒がしく描ききった技量は凄まじいけどどっと疲れた。冒頭からエネルギッシュさがノンストップで胃もたれ。長さの割には中身がない

そして人生はつづく(1992年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

 序盤は瓦礫の復旧作業を行う人々を、工事現場を眺めるごとく軽い気持ちで、俯瞰的に受け取ることが出来る。しかし、悲惨な現実や行きずまる旅路を目の当たりにして徐々に地震の影響の深刻さを目の当たりにする。鑑>>続きを読む

友だちのうちはどこ?(1987年製作の映画)

3.8

とことん自分の都合を優先する高慢な大人、その実けっこういい加減である。なぜこれほどまでに子供は無力なのか、与えられた環境で周りに振り回されていく。
なんとも退屈で中身のない会話の反復、なかなか堪えるも
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桜桃の味(1997年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

 自殺を巡る議論をほどほどに繰り広げながら、宗教的・哲学的問いのみの自慰的な作品に留まらず人の心の復元力や全ての他人の生に目を向けるような慈悲深さもある。人生賛歌ではなく、いかに生を長持ちさせるかとい>>続きを読む

軽蔑(1963年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

止まらないパッション。
ゴダール作品では珍しく、ストーリーやメッセージはすごく分かりやすい。そのためか、美術に目を向ける余裕が十全に与えられる、1回の視聴ながらかなり飲み込めたと思う。
やはりこの映画
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夜霧の恋人たち(1968年製作の映画)

3.4

愚かさゆえの若さと無知ゆえの蛮行。人は生きているだけでいいのかもしれない。

仮面/ペルソナ(1967年製作の映画)

4.0

コントラストと融合。断片的で動的な映像のサブリミナルで全ての場面を刻み込まれる感じ。構成が素晴らしく、記憶を沈殿させよりリアルに意識的に映画を見るという体験をした。仮面は容易く他者に譲渡し得る所詮人の>>続きを読む

赤ひげ(1965年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

なんとも演出が趣深くてキャラクター達の優しさをおもいきり受け止められる。
いろんな人を大切にする気持ちが見てる私たちの心に染み渡る感じ。黒澤明パねぇ

生きてるだけで、愛。(2018年製作の映画)

3.3

このレビューはネタバレを含みます

見終えて監督の映像の作り方のセンスありきの作品だな、と。
シナリオの軸がしっかりしていれば映像や演出のかったるさや美しさを見苦しいものと感じることは無かったように感じる。エモーショナルなラブストーリー
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月曜日のユカ(1964年製作の映画)

4.1

ユカは月曜日にお出かけをする女の子なのね
ラストでポップな音楽を流す余裕が好きだ