masayaさんの映画レビュー・感想・評価 - 13ページ目

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ジュゼップ 戦場の画家(2020年製作の映画)

4.1

スペイン内戦に敗れ隣国フランスへ亡命した難民たちは、劣悪な強制収容所に収容される。その中でペンを握りデッサンを続けたジュゼップ・バルトリの物語。絵を描くことで正気を保ち、起きていることを伝える。極限状>>続きを読む

ムーンライト・シャドウ(2021年製作の映画)

3.5

吉本ばななの小説って翻訳されて外国人監督に読まれたらこう映るのか。背景をギリギリまで排して主人公にフォーカスしてるので映画としては難解になった。起きた事、そこから彼女が受け止めたもの・受け止めなかった>>続きを読む

座頭市物語(1962年製作の映画)

4.1

最強の居合の使い手、盲目の座頭市。目が見えても心と裏腹ばかり言う愚劣な連中には愛想を尽かしながら、天涯孤独を共有する好敵手との友情が、関わらぬと決めた死地へと彼を誘なう。平穏な暮らしを選ばず獣道を行く>>続きを読む

岬のマヨイガ(2021年製作の映画)

3.9

震災後の三陸海岸の町を舞台に、物怪が登場する和風ファンタジーの体をとって現代の子供達から奪われているものを指し示すアニメーション。無条件の癒しと居場所と自己肯定感。物語がここまで手を尽くす必要があるほ>>続きを読む

子供はわかってあげない(2020年製作の映画)

4.4

沖田監督のハートフルさ溢れる青春コメディ。これぞ夏!な強い陽射しと焼けた肌、プールに風鈴、笑顔と涙、ときめきと切なさ。繋いでいくこと。冒頭いきなり始まるアニメーションと情報多すぎのリビング長回しから持>>続きを読む

うみべの女の子(2021年製作の映画)

3.5

浜辺に打ち上げられた漂流物のように、誰にも気にされることのない幼い2人の関係の移り変わり。恋になることはないのに、痛みだけが積み重なる。主人公達が原作から飛び出してきたような浅野漫画顔だった。原作準拠>>続きを読む

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)

4.2

長尺だけど長さを感じさせない傑作。残された者たちの、喪失感と止めどない後悔。生きることとは、それすら死者から受け取ったものとして、抱いたままで前に進むということだ。まるで異国の風景のような広島市街地を>>続きを読む

元カレとツイラクだけは絶対に避けたい件(2020年製作の映画)

3.9

完全に邦題に釣られなければ観ることは無かったけどスリルたっぷり楽しめるB級吊橋効果ムービー。絶体絶命危機一髪!な瞬間が3分に1回くらい来てるのに合間に「あの時はゴメンネ・・」とか言ってるの。屈強メンタ>>続きを読む

サマーフィルムにのって(2020年製作の映画)

4.6

面白かった!映画が好き映画を作りたいっていう一本の太い幹があって、それを中心にSFもラブコメも群像劇もオタク讃歌も詰め込んだパワフルで瑞々しい物語。観ていてワクワク感がすごかった。観た後爽快感が凄い。>>続きを読む

映画 太陽の子(2021年製作の映画)

4.2

原子爆弾の開発に携わった日本の若き研究者たちの物語。人類に幸福をもたらす為の原子力は、そのエネルギーの莫大さゆえに否応なく戦争で使用される。科学者たちは解っていて、開発したのだ。そこに倫理が立ち入る場>>続きを読む

イン・ザ・ハイツ(2021年製作の映画)

4.0

ニューヨークの片隅、カリブ出身移民が貧しくても賑やかに肩を寄せ合って暮らす街ワシントンハイツ。マイノリティの苦しみも、猛暑日の停電も、恋も、それぞれ抱く夢の行方も混ぜこぜにして、ノリノリの音楽で踊り倒>>続きを読む

返校 言葉が消えた日(2019年製作の映画)

4.1

1960年代、厳しい言論・文化統制がしかれた戒厳令下の台湾。学園すら例外ではなく、自由を求める学生や教師達が猜疑心や裏切りの果てに過酷な運命を辿る異色のホラー。ジャンル作品を通して、自国の暗部といえる>>続きを読む

パンケーキを毒見する(2021年製作の映画)

3.6

ろくな国会答弁すらしない、この見識なき首相がいかに国民の無関心を保ち政権を維持しているか。何故それが出来ているのか。批判能力を失い、及び腰でパンケーキ懇談会を報じる大手マスコミの態度が全てでは。正すに>>続きを読む

トゥルーノース(2020年製作の映画)

3.9

北朝鮮の強制収容所に収監された人々の過酷な日々をCGアニメーションで描く。政治的主張ではなくあくまで個人や家族の話として語られる。善悪を国家や社会に委ねることの危うさ。絶望に自らを支配される恐ろしさ。>>続きを読む

サイダーのように言葉が湧き上がる(2020年製作の映画)

4.3

日常のちょっとした発見を逃さずに、思いを隠したりせずに、短くても言葉にすれば、それは誰かの心にきっと届く。俳句とSNSって動機は同じで、これはご先祖様の代からやってきたんだねって改めて気づかせてくれる>>続きを読む

竜とそばかすの姫(2021年製作の映画)

4.3

圧巻!途轍もなく異形で、いびつで見たことないほど美しい現代のおとぎ話。過去作品で監督の癖として批判されてきたいくつもの要素が、他の誰にも真似できない独創性に昇華されていた。あなたが当たり前のアニメーシ>>続きを読む

機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ(2021年製作の映画)

4.4

面白かった・・まず驚いたのがその洗練度合い。高クオリティの作画に美麗な音響に痺れる演出に、一筋縄ではない人間同士のドラマ。過去作を汲んで構築されたであろう圧倒的な世界観。シリーズ未見でも、単一作品とし>>続きを読む

1秒先の彼女(2020年製作の映画)

3.8

少し・不思議な文系SFとでも呼びましょうか。テンポ速すぎの彼女が失った1日と、テンポ遅い彼が手に入れた1日。七夕バレンタインに沸く台北の街中で、台湾西海岸の奇妙な旅で少しずつ明かされる謎。懐かしさ甘酸>>続きを読む

いとみち(2020年製作の映画)

4.0

 クラシックな青森弁と三味線操る内気な少女いとが見つけたバイトはまさかのメイド喫茶!自分らしく居られる場所、互いを尊重し合える場所、夢を見られる場所。失くしたくない大切な場所を守る為の、ただ一つの“い>>続きを読む

ピーターラビット2/バーナバスの誘惑(2020年製作の映画)

3.8

ついに来ました伝説的怪作の続編。なんだかんだで家族になって、みんなで都会に出て来てもう一波乱!教育に良すぎる投げっ放し英国シュールギャグは健在。クソウサギとクソ人間が仲直りした上に新キャラの存在感が薄>>続きを読む

Arc アーク(2021年製作の映画)

4.3

死は生の対極にあるのか、生に内在するのか。若く美しく才能に恵まれた女性が不老不死を手にした最初の人類になるまでを近未来SFとして描いた前半と、不老不死が主流になったその後の世界で、それを選ばなかった人>>続きを読む

猿楽町で会いましょう(2019年製作の映画)

4.0

彼女は嘘を吐く。何も持っていない、価値のない自分を認めたくないから。何度でも嘘を吐き、他人の言葉や名前を借り、今日その日を生きる。その行く着く先はどん詰まりなのだけど。
余りに刹那的な彼女を切り取る写
>>続きを読む

RUN/ラン(2020年製作の映画)

4.0

冒頭の「刷り込み」から始まる恐怖の脱出劇。毒母の歪んだ愛からの逃れるには身体に重いハンデを背負った娘は余りに無力。だけど絶望だけはしなかった。色や構図、音響で不安感を増幅させながら終盤まで加速して、一>>続きを読む

映画 さよなら私のクラマー ファーストタッチ(2021年製作の映画)

4.0

サッカーがしたい。その凄まじい渇望が画面から溢れそうで胸が熱くなる映画。男女のフィジカル差、偏見、将来の為、試合に出れないもっともらしい理由が壁となって阻むけど、情熱と負けん気で軽く蹴散らす様が心地良>>続きを読む

映画大好きポンポさん(2021年製作の映画)

4.4

冒頭からジェットコースターハイテンポ、趣向凝らした演出に魅力的なキャラクター。映像技術の魔法、バッキバキの劇伴惜しげなく駆使して映画作りに没頭する若者たちを描く。創作する人、映画を愛する人のハート抉る>>続きを読む

クルエラ(2021年製作の映画)

4.3

クール!最高に格好いいエマストーンのヴィラン。彼女のクルエラはありきたりな暴力なんかで戦わない。同情も湿っぽさも要らない。武器はそのセンスと才能!相手の一番の特技を凌駕し圧倒的に捩じ伏せる。ディズニー>>続きを読む

BLUE/ブルー(2021年製作の映画)

4.1

誰よりも高い熱量でストイックにボクシングに打ち込む瓜ちゃんは、なかなか試合に勝てない。熱量と才能は比例しない。それはそうかも知れない。でも、強さとは勝ち負けだけではないことを、彼の背中が雄弁に物語る。>>続きを読む

HOKUSAI(2020年製作の映画)

4.0

目の奥に、映った物を絵に描くまでよ、それが世に出たら、お上に楯突くことになろうともな。我が国を代表する画家の情念と反骨の人生を通して、芸術で社会を変えたい、良くしたいという切なる願いを二重写しにする。>>続きを読む

約束の宇宙(そら)(2019年製作の映画)

3.9

シングルマザーのサラが、宇宙飛行士に選ばれる。偏見も過酷な訓練も夢の為には克服できる。でもたった一人の娘の側に居られないことが、ただ彼女に重くのしかかる。宇宙開発という特殊な世界を舞台としているけど、>>続きを読む

茜色に焼かれる(2021年製作の映画)

4.0

芝居こそが真実なのよ。
女優尾野真千子に言わせた、幾重の意味を孕んだそのシーンだけでも、今観るに値する映画だったと思う。

誠実な人々が、不誠実な社会とコロナ禍によって陥る不幸のスパイラル。弱い者は虚
>>続きを読む

ファーザー(2020年製作の映画)

4.4

認知症高齢者の主観を大胆に映像化した、背筋も凍るサスペンス。錯綜する時系列、繰り返す幻覚幻聴。今居る場所も横に居る人も、自分自身すらも不確かになっていく恐怖を描く。不安に怯え、猜疑心の塊になった父。必>>続きを読む

くれなずめ(2021年製作の映画)

3.9

やり直したい記憶、言えなかった一言。些細な事ほど心に残っていて、ふとしたきっかけで顔を出す。旧友たちのそんな後悔が、居なくなった筈の彼の姿として現われたのかも知れない。過去は変わらない以上、無様でもそ>>続きを読む

14歳の栞(2021年製作の映画)

4.0

ある中学校のあるクラス、全生徒35人の今だけの思いを切り取った記録映画。一人ひとりが何処にでも居そうで誰にも替えが効かない人生でまさに大人になろうとしている。この瞬間子供たちそれぞれが考えてること、悩>>続きを読む

サンドラの小さな家(2020年製作の映画)

4.2

 サンドラは夫のDVを逃れ、娘達を連れて家を出た。身を寄せる場所はなく、社会から疎外された彼女は、自分で家を建てることにした。隣人の助け合いの精神は公共に代わる受皿になり得るのか、なるべきなのか。法律>>続きを読む

きまじめ楽隊のぼんやり戦争(2020年製作の映画)

4.2

 終始ヤバヤバの怪作にして衝撃作。感情を失った操り人形のような町民達が、日々の作業として長年続ける川向うの隣町との戦争。戦ってる理由も、相手も誰も知らない・・戦時中を模した舞台設定ながら、風刺の矛先が>>続きを読む

街の上で(2019年製作の映画)

4.2

 時折ふっとチャンスの匂いするけど、大体はお約束の挫折と変わり映えしない毎日が積み重なっている下北沢の街角。不器用な男の子のキュートでちょっと情けない日常を、絡み合う関係性と丁寧すぎる会話描写で鮮やか>>続きを読む