そーいちろーさんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

シン・仮面ライダー(2023年製作の映画)

3.4

言われているほど悪くもなかったけど、じゃあわざわざ今リメイクする意味あったか?と言われればという感じ。平成仮面ライダーという新たな文化の中で、あえて昭和の仮面ライダーをやる意味を、ノスタルジー以外で何>>続きを読む

街の上で(2019年製作の映画)

3.6

オールナイト3本目。下北沢の街を舞台にした群像劇。人を好きになることの難しさだったり、ただの憧れと好きの違いを「居心地の良さ、悪さ」に求めたり、今泉作品が追求するものは基本的に変わらず、そこに大橋裕之>>続きを読む

窓辺にて(2022年製作の映画)

3.8

オールナイト1本目。これはほぼほぼ主人公の様子含めて、今泉力哉版「ドライブマイカー」と言っても過言ではない内容。妻の不実を知った際に、それに対し動じない自分をどう思うか、という内容を徹底的に描き続けて>>続きを読む

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

3.5

マルチバースの中心でアイを叫んだ獣、って感じの話で、とにかく時空も映像も時間軸も飛びまくり、なんなら有機物である人間の前提も飛び越え、無機物の岩にさえなる。多層空間、複数世界において主人公は何度も殺さ>>続きを読む

ハモンハモン(1992年製作の映画)

2.3

出ている俳優陣が良い以外は、基本的にシナリオも破茶滅茶な馬鹿映画だった。ラストも悲劇を描きたいのか、喜劇を描きたいのか、よく分からなかった。ハムで殴られて死ぬって。その乱れ切った人間関係と性生活含め、>>続きを読む

愛のコリーダ 修復版(1976年製作の映画)

3.5

徹底的に男と女の情欲を描きたかった、みたいな大島監督のコメントを以前に見たことがあるが、まさにその通りの作品だった。徹頭徹尾、ひたすら男女の野生じみた交わりと、密室空間でどんどん充満していく愛憎により>>続きを読む

コンパートメントNo.6(2021年製作の映画)

3.5

モスクワからムルマンスクというロシア北端の地までの寝台列車での移動で偶然居合わせた男女のラブロマンスとロードムービーもの。ロシアの凍てつく街の風景が見ているだけで凍ってきたり、寒々としていて、こっちの>>続きを読む

パンズ・ラビリンス(2006年製作の映画)

3.9

日本最終上映ということで観に行ってきた。内戦後のフランコ政権下のスペインの森の中の田舎町を舞台にした哀しきダークファンタジー。母親の再婚相手である大尉がいる田舎に引っ越してきた主人公オフィリアは、読書>>続きを読む

フェイブルマンズ(2022年製作の映画)

3.8

これはスピルバーグ自身の「私映画」なのだろうか?それとも彼の思春期や映画への憧憬を投影した創作なのか?いずれにしても、こんなに瑞々しく、青い画面構成を76歳のユダヤ人監督は撮ってしまったのだろうか。ア>>続きを読む

冬の旅(1985年製作の映画)

3.3

冬に旅して死んだ女の子のロードムービー。旅で女が関わっていく人々の語りをもとに、彼女の軌跡を追いかけていくようなストーリー。おそらく色々な背景であったりが存在するんだろう物語なのだが、まぁ淡々としてい>>続きを読む

グリーン・ナイト(2021年製作の映画)

3.5

アーサー王伝説をベースとしたダークファンタジーらしいが、まぁ何となく最初で「これは自分の敵は自分だ!」的なオチでは、という予測が出来たけど、案の定だった。

クリスマスに王を継承すべき男が、一族の戯れ
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BLUE GIANT(2023年製作の映画)

3.2

音が、映像がスイングしていた。話はわりあいにありきたりだし、ツッコミどころも色々あるんだけど、そういうのを吹き飛ばす勢いがあった。トリオの声をやった俳優たちの熱演が光っていた。

パターソン(2016年製作の映画)

4.2

ペンと空白の紙と、世界を見つめる視線さえあれば誰でも詩人になれるし、例えそこでほとんど変わり映えのしないと思われる日常を過ごしていると思われようと、別に仕事をしていようと、紛れもない本物の詩人になり得>>続きを読む

勝手にしやがれ 4Kレストア版(1960年製作の映画)

4.0

「不老不死で死ぬこと」という不可能性を追求することがゴダールにとって生きることであり、映画だったり、恋愛だったりの人生のすべてだったのではないだろうかと思わせてくれる作品。当然、凡人の私がゴダールの考>>続きを読む

別れる決心(2022年製作の映画)

3.5

サイコパスの女が旦那殺して、子供も殺して葬式を開いて…みたいなのがあって、その答えが「また好きな人に会えるから」みたいな思考回路で、サイコパスって怖いですねぇ、というエピソードがあるんだが、どこかそん>>続きを読む

マグノリア(1999年製作の映画)

3.5

トムクルーズの怪演や、いつものポールトーマスアンダーソン組の安定した演技と、それぞれ人生(特に家族との関係性)に後悔を抱えながらもよりよく生きよう、何とか上手くやろう、みたいに生きながら、その物語が複>>続きを読む

パンチドランク・ラブ(2002年製作の映画)

3.6

昔DVDで見た時は、恋の酩酊感のみで押し切ってくる感じの作風に痺れたけど、今回十数年ぶりに改めて観て、それだけでなく、抑圧されて神経症気味な主人公が、リサという運命の女性に出会うことで救われていく、と>>続きを読む

ブギーナイツ(1997年製作の映画)

4.0

これを若干27歳で作り上げた、ってポールトーマスアンダーソンは天才過ぎるな。JLGの28歳も凄いけど、このクオリティを作り上げるとは。そして、基本的に最新作「リコリスピザ」に至るまで、やっていることが>>続きを読む

ナイト・オン・ザ・プラネット(1991年製作の映画)

4.1

ロス、NY、パリ、ローマ、ヘルシンキの五都市を夜から明け方にかけてのタクシードライバーと乗客たちの乗車から目的地到着までの短い時間を舞台にしたロードムービー。全てがすべて、異なった味わいを持ちつつ、そ>>続きを読む

コーヒー&シガレッツ(2003年製作の映画)

3.3

コーヒーとタバコと無駄話をオムニバスで映し出すだけでも映画になるし、何かそこにコーヒーを飲んだ後の余韻や煙草の煙のあとの煩わしさと虚しさと解放感を感じさせる映画が撮れるということは発明だな。テスラコイ>>続きを読む

あつい胸さわぎ(2023年製作の映画)

3.0

俳優の演技も、脚本の運びも演出も悪くない。でもなんかするりといき過ぎているし、なんというか主人公の葛藤が描ききれておらず、伝わってこないなぁ、という感じ。三浦誠己さんの演技は相変わらず素晴らしいのだが>>続きを読む

パルプ・フィクション(1994年製作の映画)

4.5

低俗にして愚劣。過剰にして過激。冷血にして情熱的。いわゆる世間的に「B級」とされてきた作品群達の要素を見事にまとめ上げ、映画史に刻まれるべきクラシックへと紡ぎ上げたタランティーノの当時の力量と情熱に感>>続きを読む

イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)

3.5

なんとも評価しづらいヘンテコな映画ではあったのだが、「害はないけど退屈な人間がいちばん有害」ってな話になるのかな、と。コリン・ファレル演じる主人公のいい人だけどうだつが上がらず、そのくせ自尊心が高い感>>続きを読む

七人樂隊(2021年製作の映画)

3.8

映画愛と故郷への愛に溢れた作品だった。失われつつある映画(フィルム)と故郷への望郷の念に満ちた作品。どれもそれなりに味わい深かったが、「稽古」「校長先生」「回帰」「ぼろ儲け」「道に迷う」が特に良かった>>続きを読む

明日に向って撃て!(1969年製作の映画)

3.3

邦題とは真反対に、全然明日に向かってない二人の盗賊の物語。アメリカンニューシネマらしく、野放図に過ごす二人と、それがどんどんと体制側に追い込まれ、最後は破滅が約束されながらも命懸けの突撃戦を挑むところ>>続きを読む

沈黙の島(1969年製作の映画)

3.9

肝心の何が起こったのかは匂わせるに過ぎないのだが、およそ過不足なく姉妹の緊密な人間関係を、妹の息子、行きずりの男、ホテルマン、という最小人数の道具立てで息つく暇も与えず見せる心理劇は傑作と言っても過言>>続きを読む

ファニーとアレクサンデル(1982年製作の映画)

3.8

人生の浮き沈みと、それでもある瞬間を楽しむ、みたいなのをスウェーデンの大女優の一族の物語をもとに大長編で描いているんだけど、実際相当に長い。ベルイマンお得意の精神世界に深掘りしていくような映像表現なん>>続きを読む

鏡の中の女(1975年製作の映画)

3.3

「信仰」と「狂気」の狭間、というベルイマンの描きたい世界観をそのままに、現実と心理世界を錯綜させつつ、イェニーという一人の女性の姿を描いた作品で、ある種のカルト作品。正直、ベルイマンが撮ってる、という>>続きを読む

鏡の中にある如く(1961年製作の映画)

3.8

精神を病んだ女性とその旦那、その女性の父で小説家と、弟の海辺での休暇を舞台に、錯綜とした心理劇が繰り広げられる、ベルイマンらしい作品。

ベルイマンはしばしば「神」や「信仰」についてを映画的に描いた監
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aura aurora/オーラ・オーロラ(1985年製作の映画)

3.2

あぶらだことアレルギーの存在感が凄い。監督は後にV系のMVの第一人者になられた方、という事で映像はスタイリッシュかつ蠱惑的。

ちょっとの雨ならがまん(1983年製作の映画)

3.8

この当時のパンクス達の映像を観ると、強かった世間があり、歯向かうべき世界がこの国に存在していたことを感じさせる。抵抗がそれ自体として機能するためには、強力な反作用が必要なのだ。いま、なぜ反発や抵抗が起>>続きを読む

ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)

3.3

ケイコは目がいい。彼女は雄弁でないし、何より先天的に耳が聞こえない。彼女はプロボクサーであり、対戦に向けて淡々と毎日毎日、荒川の小さな古いボクシングジムでほぼ同じ練習を重ね、毎朝早くからロードワークを>>続きを読む

恋のいばら(2023年製作の映画)

3.2

ちょっとブリジット・フォンダが素晴らしかった映画『ルームメイト』を思わせる映画。憧れが自己同一化願望へと変わり、他者の欲望を欲望していくような、倒錯した恋愛模様。

いわゆる「ミソジニー」における恋愛
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フラッグ・デイ 父を想う日(2021年製作の映画)

3.2

子は親を選べない、また人は宿命を背負って生きていかねばならないというような話だった。

楽曲センスや、どこかアメリカンニューシネマを思わせるようなザラついた画面作りなんかは良いんだけれど、話はありがち
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MEN 同じ顔の男たち(2022年製作の映画)

2.8

傷心旅行で癒しの田舎旅行に来たはずが、そこで男たちに酷い目に遭わせられる女性の話。深読みすれば男性性に抑圧された女性が、そこに反逆する物語、ではあるのだが、なんというかもっと馬鹿馬鹿しい映画だった。え>>続きを読む

アバター:ウェイ・オブ・ウォーター(2022年製作の映画)

3.2

確かに映像は凄いんだけど、長い。その長さが必然かと言えば、決してそんなことはなく、監督がこの映像体験の凄さを見せたいがための見せびらかしシーンのようなものも多く、その必要性を考えると微妙。物語自体は「>>続きを読む