結構信頼出来るレビュアーの方が酷評されていたし、これまでの佐藤泰志原作作品がどれも原作ほどはピンとこない、イマイチな作品が多かったというのもあり、まるで期待してなかったんですが、めちゃくちゃ良い映画で>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
まさか子ども亡くす系の話だと思ってなくて観たから、唐突な展開に面食らう。
元旦那が聴覚障害者、しかも韓国と日本のハーフの韓国籍、いまはホームレス、現旦那は職場の女と付き合っていたのに直前で振って、木>>続きを読む
第一話「魔法」第二話「扉は開けたままで」第三話「もう一度」の三遍からなる短篇集。
どれも確かに「偶然」から始まり、余白を残した「想像」に満ちた作品であるのだが、濱口竜介の洒脱さが悪目立ちしているよう>>続きを読む
映画館で観ないと面白さ半減の、大エンターテイメント傑作。ベースにはイギリス植民地時代のインド国民達のレジスタンス活動と、イギリスの悪辣な植民地支配がベースにある。
ビームとラーマ、それぞれ異なる立場>>続きを読む
ブレッソンらしい反物質主義的かつ厭世的な世界観。ラルジャンやスリの系譜に連なるリアリズムに満ちた劇映画。
主人公を環境汚染や核戦争の恐怖に満ちた現代社会に生きる中で絶望を感じつつ生きている。
主人>>続きを読む
アーサー王伝説を下敷きにした物語らしく、その前提が頭に入ってないと正直物語の意味は結構ちんぷんかんぷん。基本は王への忠義と王妃との不義の間に揺れる騎士ランスロの葛藤と闘いの物語なんだけど、この背景を理>>続きを読む
原題を邦訳するなら「バニー・キングの正義」とでも訳すべきで、実際にドライビングバニーよりこっちの方がよほど映画の内容を表したタイトルだったと思う。
想定しているよりかなり重いテーマであったので、少し>>続きを読む
アメリカインディーズ映画でよく描かれる30代の危機を描いた作品だった。そこに中絶、同性愛、高齢出産、産後うつ、人種問題等のアメリカの抱える社会問題的なものが織り込まれつつ、子守り相手だった黒人の少女フ>>続きを読む
国民的映画監督という存在が実写からアニメ映画監督に移ってから、ずいぶんと久しい。
大企業の中間管理職を務める程度の力量があれば、映画監督が務まると言ったのは黒沢清だったが、大規模なブロックバスターを>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
助手に吉田喜重の名があるからか、凄い画面構成(開け放たれた扉を何度も映し出したり、何度も何度も千人塚と言われる屋敷の門やその塀を映したり)が吉田喜重ぽい作品だった。
こちらも戦前戦後の日本と家父長制>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
ラストの湯河原駅での鉄道への飛び込み自殺まで含めて、冷徹なリアリズムに徹底した傑作。今の時代にも繋がる母親と子供達のすれ違う心情とそれによってもたらされる悲劇、それは同時に敗戦国日本から復興を遂げてい>>続きを読む
原題は「事件」、英題だと「Happening」だから、まぁ予期していない出来事、厄介事といったニュアンスか。
労働者階級の家に生まれ、親の期待を背負いながら大学で文学を専攻する優秀な女学生アンヌは年>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
まさか、りょーちんが主人公だとは思わなかった。物語は山王工業とのインターハイ二回戦を描いた内容で、そこは原作通り。アナザーストーリーというか、前日譚的にりょーちんと死に別れた兄のソウタ君のエピソードが>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
中国が行っていた「一人っ子政策」という生殖管理政策の歪みと、男尊女卑的な価値観で虐げられる二世代(伯母、主人公)のシスターの話だった。
四川に住んでるらしい主人公は、両親にマンションの権利書の受取を>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
愛情と執着の違いや純粋と不純、与える者と受け取る者とか虚栄心やそういう物を料理という人間の営みを通じて描いたシニカルなブラックユーモアに満ちたスリラー映画。
物語はジュリアン・スローヴィクという孤高>>続きを読む
大傑作。シンギュラリティとか本当の家族は、とかそういう大文字の思想で語ることも出来る作品なのだが、何よりも「誰かの死を悼むこと」「死者の記憶とともに生きるということ」をこれだけ真摯に、そして穏やかに美>>続きを読む
最初、あまりにタル過ぎて「これはやっちまったか」と思ったが、さにあらず。いわゆるネタバレ厳禁系の作品ではあるのだが、とても面白かったです。湿地の娘と呼ばれ、田舎街で蔑まれ、両親から育児放棄を受けた娘が>>続きを読む
たまシネマフォーラムでパルテノン多摩にて鑑賞。自分は初見だったが、リピーター続出の、コアなファンが支えた映画だったらしい。もともと小林啓一監督の描く世界観への信頼感があったので、そこへの不安感はなかっ>>続きを読む
たまシネマフォーラムでパルテノン多摩で鑑賞。メタモルフォーゼとは変容であり、その舞台となる縁側は人を迎え入れる場である。好きなものを共有することの喜びや、それが簡単に国籍も年齢等も飛び越えることはわか>>続きを読む
たまシネマフォーラムでベルブホールにて鑑賞。作風は初期ポンジュノ、ジャームッシュ、山下敦弘、黒沢清、あるいはホンサンスを思わせるような、いわゆるオフビートと言われるような緩い展開。
語りの視点が病院>>続きを読む
エルヴィスプレスリーの街であり、黒人とロックンロールの街であるメンフィスを舞台にした三篇の短編連作もの。街にあるホテルを舞台に、日本人のロック好きのカップル、急なトラブルでローマに帰れなくなったイタリ>>続きを読む
ここにおいてもジャームッシュは横移動で街を映し出し、自分が望まぬ理不尽な状況でもがきながらも、でもどこかで緩さを失わず、最後はそれぞれの人生を与えられた境遇の中で選び取り、なんとなくこのなんとも言えな>>続きを読む
男二人と女一人の珍道中もので、ここにおいてもジャームッシュはハンガリーからニューヨークの移民という主人公の意匠をもとに「寄る辺なき者」「漂流者」というテーマで物語を描き出している。
ジャームッシュの>>続きを読む
ジャームッシュの処女作であり、のちのジャームッシュ作品共通と思われるテーマである「漂流」についてを、それ以降のジャームッシュよりももっと超現実的に描かれている作品。さすが、大学の卒業制作らしい一作とい>>続きを読む
汐留FSホールにて。
本作はキャリーなんかに類する思春期の不安定な女子の心象風景を超能力というものに絡めた一連の青春映画のジャンルものの一作であった。古くは時をかける少女なんかもその類に含まれるのか>>続きを読む
昨今の異形もの(ハッチング等)の母性の暴走的なものを描いた作品と思いきや、なんか振り切り過ぎて、とんでも映画とは言わないまでも、ギャグ映画のようになっていった。
映像は固定カメラでしっかりと撮るスタ>>続きを読む
十年ぶり以上に観たけど、改めて観てもこの当時のジャジャンクーの描く中国の風景は沁みる。国家としてはどんどんと大国としての地歩を固めつつあるのに対し、そこから取り残されたように過ごす市井の人々のどうしよ>>続きを読む
映画館で観るの三回目だが、やはり思春期もののアニメで一番好きかもしれん。
新海誠が爆発的に売れる前の作品で、今みたいな新海誠の大衆性を強調した作品性でなく、一人称の内省的なモノローグを特徴とした春樹>>続きを読む
ビスコンティをちゃんと観るのは二本目なのだが、熊座の淡き星影といい、とにかく重厚。そしてイタリアの歴史そのものが映画に乗り移ったかのような背景と、そこに乗っかってる濃密極まりない人間模様が繰り広げられ>>続きを読む
王家衛は何を撮っても、誰を撮っても、どこで撮っても、王家衛の映画を成立させている。そこに偉大なる素晴らしさが溢れている。王家衛の撮る映画は、新しいとか古いとか、お洒落とかダサいとか、流行とか時代遅れと>>続きを読む
互いの連れ合いが不倫していることに気づいた隣人の男女が、互いに惹かれ合いつつも、ただ一線を越えられぬまま、それぞれの人生を歩んでいく。
言葉にすると酷く陳腐であるのだが、この映画全体に漂う強いコント>>続きを読む
遠い南米の地で、二人のアジア男性が互いを猛烈に求め合いながらも、互いに反目し合う。ただただその濃密で機密性の高い特異な恋愛模様が描かれ続けるのだが、それがいい。極度に純度の高い恋愛模様を見せつける純恋>>続きを読む
どうも大人と子供がひょんなことから束の間の時間を過ごし、関係が深まったところから別れが来て、お互い何か大切なものを得てお互いのそれぞれの日々を過ごす系の話に弱い。こういう話の典型がヴェンダースの「パリ>>続きを読む
これは淡々と描かれた映画ながら、そこに横たわる宗教的価値観や、黒人たちが置かれてきた社会状況や世代間対立等、さまざまなテーマが織り込まれた、かなり重層的な人間ドラマである。
プロットとしては幸福では>>続きを読む
とにかくどうしようもなく愛くるしい一作。正直、ディテールに関してはかなり突っ込みどころが多い作品だし、甘ったる過ぎる作品と言ってしまえばそれまでなんだけれど、その時を最も美しく映し出す、という映画が果>>続きを読む
恋する惑星の一編として書かれながら、長くなり過ぎたので一本の作品となったとされる作品。それゆえ、恋する惑星との関係性は強く、都市に生きる若者達の青春群像劇となっている。すれ違い、不在の想い人の痕跡を求>>続きを読む