プラナリアさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

真・事故物件 本当に怖い住民たち(2021年製作の映画)

3.7

「本当に怖いのは幽霊ではなく人間だったのです」という常套句を何周もこねくり回してできた物語の軸がしっかりしててブレなく、その点好感度が高い。しかし演出のセンスが些か肌に合わず、カメラの切り替えが分かり>>続きを読む

サイダーのように言葉が湧き上がる(2020年製作の映画)

4.8

単に思春期ラブコメとして見ても大傑作な本作の、その最大の成功は舞台設定だろう。例えば『君の名は』では大都会と超田舎という両極的なロケーションが描かれていたが、それらの中間にあたる「娯楽施設がショッピン>>続きを読む

ミスター・ガラス(2019年製作の映画)

4.6

前2作の物語を完璧な形で完結させたユニバースの真骨頂。悪役とヒーローの関係性とは?境界とは?そうしたお話の果てに現れた「共通の敵」に対峙する物語が本作である。私は、これほどまで気持ちのいいメタフィクシ>>続きを読む

スプリット(2017年製作の映画)

3.8

監禁ホラーだが、同時にメタヒーローの快作『アンブレイカブル』に連なるシリーズでもあり、「実はこの映画はヴィランに焦点を当てたスピンオフだったのです!」とラストで急に言われるので変な笑顔になった。

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アンブレイカブル(2000年製作の映画)

4.1

最後の最後でこの映画はどんな物語だったのか分かる。主人公と相棒みたいな人が対極になっているお話は数多いが、コミックに取り憑かれた男はその対比を人工的に作り出そうとしてしまった。悲しい物語だぜ

バクラウ 地図から消された村(2019年製作の映画)

4.2

雰囲気はものすごい奇妙だけれども、芯の部分はものすっごい真剣。初めは長く不穏に思える村民たちの日常風景も、描写の積み重ねの果てにそれが無償で与えられるべき尊い営みだという説得力が産まれるだろう。そして>>続きを読む

ファイアー・オブ・ラブ 火山に人生を捧げた夫婦(2022年製作の映画)

4.6

雲仙岳の噴火で亡くなった火山学者夫婦の生涯を追ったドキュメンタリー。美しくもあまりにも危険な映像の数々に「なぜ」「何のために」という意思が上乗せされていく。彼らの末期は悲劇であったが、それでも2人の死>>続きを読む

DAICON FILM版 帰ってきたウルトラマン(1983年製作の映画)

4.5

なんと、なんとギラギラした映像なのだろうか。ひたすら凄まじい怪獣特撮が繰り広げられるAパートから核と復讐を巡る確固たるドラマが生え、もはや光の巨人抜きの方が面白いのではと感じてきた頃に現れる庵野くん。>>続きを読む

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)

3.7

伝記バトルとして見ると不満が多いが、一期一会のロードムービー、そして避けえぬ死と滅びに対峙する物語として至高の一作。今の私に欠かせぬ、かけがえのない物を受け取れた気がした。

芹澤朋也

ドロステのはてで僕ら(2019年製作の映画)

4.0

テンポが悪いのが欠点だがこれは良くできている。最終盤の痛快な決断と想像の余地を残す温かなラストカット、お見事。もっと短ければより良かったかもしれないけど

最後の決闘裁判(2021年製作の映画)

3.8

こ、怖い!中世欧州、記録に残る最後の決闘裁判を通して描かれる、男と男の因縁と死闘......みたいな熱さは意図的にオミットされており、もう1人の視点から語られる時代の不条理と尊厳の危機が本作の主題にな>>続きを読む

ソニック・ザ・ムービー(2020年製作の映画)

4.0

誰よりも速い足を持つ男が車でゆっくり逃避行するロードムービー。その過程で自身の欠落を埋め合わせて一回り大きくなって旅を終える、シンプルでいい味わいであった。エッグマンがカラッとした悪役なのもgoodだ>>続きを読む

マリグナント 狂暴な悪夢(2021年製作の映画)

4.7

思えば序盤に写る病院の外観が最大のヒントだった、アレと同じノリであらゆる動作やエフェクトや劇伴が過剰に盛られている、もちろんクライマックスの大アクションも

物語の仕掛けは割とシンプルで、しかしそれは
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漁港の肉子ちゃん(2021年製作の映画)

4.3

皆さまざまに事情を抱えてこの海辺で生きているのだが、それでも誰もが朗らかに強かに日々を過ごしているもので、なんと幸せで満たされていることであろう......と暖かい気持ちにさせられる。いい空気吸わせて>>続きを読む

シャン・チー/テン・リングスの伝説(2021年製作の映画)

4.1

👑父オブザイヤー2021
👑ヴィランオブザイヤー2021
👑長命種オブザイヤー2021

FYRE: 夢に終わった史上最高のパーティー(2019年製作の映画)

4.5

「残りの尺何すんの!?」って鑑賞中20回は言ったが、しかし最後までトッポたっぷりのドキュメンタリーでした、恐ろしいことに

プレデター:ザ・プレイ(2022年製作の映画)

3.9

前半は主人公の好感度がかなり低くキツかったが、後半は見事に持ち直してくれた。あれだけ憧れていた「試練」にいざ直面したとき、お前はただ死ぬか殺すかの修羅道に身を投じるしかないのだという説得力があった。あ>>続きを読む

HiGH&LOW THE WORST X(2022年製作の映画)

4.7

魔法のようなキャラクターの煌めき、唯一無二の不良アクション、これだ!我々はずっとこれを待ち望んでいた!ハイロー・ザ・ワースト!!

ストーリーはやや小さくまとまった印象をうけるものの、演出周り含めて過
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ラストナイト・イン・ソーホー(2021年製作の映画)

3.7

煌びやかだが恐ろしいロンドンの情景、ジャンルを三跨ぎした大胆なコンセプトは素晴らしかったです。一方で倫理面でのフォローがいまいち足りなかったり、主人公に理解のある彼が都合良すぎたりと、惜しい部分が目立>>続きを読む

ブレット・トレイン(2022年製作の映画)

4.1

原作未読。映画のテンポだと飲み込み辛いプロットに設定、アンマッチな画面の質感、アクションそのものも割と平凡だが、トンチキ日本で殺し屋珍道中という観客の期待を完全に答えてのけたのでまあ問題なし!しかもな>>続きを読む

トレマーズ(1990年製作の映画)

4.8

完璧。強いてイチャモンをつけるとするならば愚かモブの気持ちのいい死に様が欠如している点だが、誰も「死ぬためだけに存在する愚者」ではないからこその物語なのだから、そんな文句を言う筋合いはないのだ

KING OF PRISM PRIDE the HERO(2017年製作の映画)

3.3

シリーズ未見、変に変と雑を足せば3つ変みたいな作劇をやめろとキレ気味に試聴していたけど、途中で変が2億追加注文されてからいい具合に吹っ切れてくれた、嫌いじゃないよ!

ONE PIECE FILM RED(2022年製作の映画)

4.4

限界救世主思考実験。旅に出て元に戻るなどという安直な着地点は許されぬ、一筋の影を残したと言うには暗すぎる

ピラニア 3D(2010年製作の映画)

4.2

愚かゲージをじっくり丁寧に溜めて、溜まりきったら後はもうお察しの通り。思ったよりエロパートが長くて困惑したけど観たいものは全部観られたので大満足、コイツを超えるカタストロフが表現できているエンタメが一>>続きを読む

SKIN 短編(2018年製作の映画)

4.1

どちらも家族がいて、生活があったのだ。そういうのをどっしり描写してるからこそこう余計に

カーター(2022年製作の映画)

3.9

いくらなんでもカメラが激しすぎて見辛いし、ストーリーも妙で無駄に尺が膨らんでる気がするが、そこに超級のワンカット風アクションが合わさることでとんでもないパワーが生まれていた。体力をたらふく持ってかれる>>続きを読む

モンタナの目撃者(2021年製作の映画)

4.3

敵の格の低さを除いて完璧なシナリオ。最冒頭から緊張が一切途切れず、次第に増えゆく画面中の降灰量がカタストロフへの予感を高めてくれた。締めくくり方は一転して優しいもので、それがより一層沁み入る。ただ、そ>>続きを読む

デイズ・オブ・サンダー(1990年製作の映画)

3.9

無印トップガンの焼き直しみたいなコンセプトだが、前作より明らかに洗練されている。縦軸の強固さ、ライバルやチームメイトとの友情、明快なバトルの駆け引き......トップガンで至らなかった部分が改善されて>>続きを読む

ヴィジット(2015年製作の映画)

4.6

ヤッツィーーーー!!!

家族のわだかまりや自身のコンプレックといった物語の主軸が強固で、その辺りだけでも十分完成されている程だが、それを食いかねないほどに老夫婦が不穏で恐ろしい。オーブンが画面に映る
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ザ・マミー/呪われた砂漠の王女(2017年製作の映画)

2.9

トムが幻覚の再生ボタンを連打するせいで、マミー王女に襲われているのか襲われる幻覚に苛まれているのか判別がつかなくなった時点で作品への信頼が底をついてしまった。本筋と特に関係ないジキル博士はよかったんだ>>続きを読む

ソー:ラブ&サンダー(2022年製作の映画)

4.2

ハリウッド版ストレッチマン。快活な内容に見えて、ソー本人とシリーズそのものが老成しているさまを受け取りジーンとなった。それはそうとあのクソ劇を真面目に楽しんでるマーベル市民の感性が心配になるぞ

ウィリーズ・ワンダーランド(2021年製作の映画)

4.5

ニコラスケイジがウィリーズワンダーランドの歌をバックにノリノリでピンボールするシークエンスで、ギャグホラーという枠組みすら壊 破壊して唯一無二のなんかになったんだと思う。

大好き!でも幾らなんでも限
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囚われた国家(2019年製作の映画)

4.3

エイリアンがあんまり出てこない、人間のパルチザンと警察の争いを描いた宇宙戦争。劇伴とパンチラインが宇宙一格好いい。

ポリティカルサスペンス色の濃い内容に反して異星人周りの設定やビジュアルがB級臭いの
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メトロポリス(2001年製作の映画)

4.0

いまいちズレてる気がした劇伴のセンスが、クライマックスでこれ以外ないほど噛み合う不思議