atsushiさんの映画レビュー・感想・評価 - 7ページ目

マーベルズ(2023年製作の映画)

3.8

前作『キャプテン・マーベル』は公開当時のキャッチコピー"HER → HERO"が示す通り、フェーズ3のキーパーソン、キャプテン・マーベルの誕生譚でした。今作は彼女のヒーローとしての功罪にフォーカスした>>続きを読む

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

3.8

映画『ゴジラ』は確かにゴジラの冠映画だが、しかしそれ以上に、恐怖に慄く役者陣のリアクション映画でもある。

1954年公開の初代ゴジラは戦後間もない日本の観客を恐怖のどん底に陥れた。言わずもがな、ゴジ
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赤い靴(1948年製作の映画)

3.8

夢と愛に引き裂かれたダンサーの悲劇。ある出来事の前後に用意された劇中劇『赤い靴』の上演シークエンス。赤い靴に翻弄される孤児を描いたアンデルセン童話『赤い靴』に翻弄されるバレエダンサーという多層構造を巧>>続きを読む

キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン(2023年製作の映画)

4.0

地底から噴出した黒光りする石油。降り注ぐ石油を頭から浴びながらオーセージ族が舞い踊る。ロビー・ロバートソン書き下ろし、その名も『Osage Oil Boom』がまるで、これから始まる未知の映画体験に心>>続きを読む

ギャング・オブ・ニューヨーク(2001年製作の映画)

3.8

冒頭描かれるのは、神父率いるデッド・ラヴィッツとビル・ザ・ブッチャー率いるネイティヴズの決闘。幼少期のスコセッシが憧れたのはマフィアと神父というのはよく知られた話ですが、まさに暴力と宗教、開始早々ほと>>続きを読む

ジョン・ウィック:コンセクエンス(2023年製作の映画)

3.9

冒頭、ニューヨークか、アラビアのロレンスさながらのアカバか忘れたが、スクリーンに映る画のあまりの美しさと、キアヌが拳をつく音の衝撃があまりにも楽しく、今まさに映画を観ているのだと、涙が流れる。

87
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仇討(1964年製作の映画)

4.0

橋本忍のオリジナル脚本を今井正が監督。

封建社会の理不尽さを見事に映像化した重厚時代劇。若かりし萬屋錦之介の繊細な演技と荒ぶる殺陣。ほんの些細な口論が火だるまのようにみるみるうちに仇討にまで発展する
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野獣暁に死す(1968年製作の映画)

3.8

西部劇に仲代達矢!?これは観るしかないとずっと観たかった作品をついに鑑賞。

マカロニ・ウエスタンは例の如く出演俳優が国内外から集まった出稼ぎ俳優が中心になる関係で、吹替されるのが定番です。俳優の味を
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X エックス(2022年製作の映画)

3.9

"なぜ台本の順に撮らないの?"
"実験的な作品にしたくて、フランスの前衛映画のみたいに"

この台詞に始まり、あらゆる台詞がこの映画の自己言及となっています。トビー・フーパーの『悪魔のいけにえ』に大胆
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食人族4Kリマスター無修正完全版(1980年製作の映画)

3.8

野蛮で残酷な映像の裏でかかる美しいメロディーの対位法が残虐さを引き立たせる。

ツリー族が高い木の上を生きるように、文明人の我々は高層ビルの上を目指している。劇中最後の台詞は"誰が食人族なんだ"。
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泥棒成金(1954年製作の映画)

3.7

すでに俳優を引退していたケイリー・グラントが、ヒッチコックに「グレース・ケリーとキスできる」とそそのかされて俳優復帰したロマンティック・コメディ。

フランスを舞台に豪華絢爛な衣装に、煌びやかに輝く海
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ジャン=リュック・ゴダール 反逆の映画作家(シネアスト)(2022年製作の映画)

3.8

"60年代のことが知りたければ、ゴダールを知るべきだ"

歴代のゴダール・ミューズ達によって語られるゴダールの生涯。フィルモグラフィーと共に語られるのは、彼の人間性、人生の変遷。

ヌーヴェルヴァーグ
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ヒッチコックの映画術(2022年製作の映画)

3.9

ヒッチコックが凄いことなんて自明なのですが、マーク・カズンズやっぱり凄いとなります。

全編ヒッチコック自身の自分語り(という体)で解説されていくのですが、その視点・その切り口はマーク・カズンズそのも
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友だちの恋人(1987年製作の映画)

3.8

"友達の友達は、友達"

エリック・ロメールによる「喜劇と格言劇」シリーズ第6編にして最終作。

2023/09/20 1回目
【2023年94本目】

反撥(1964年製作の映画)

3.7

ポーランドの鬼才ポランスキーの性癖炸裂。この時代にどうこの作品を読み解けば良いのか、感想に困る。一見すれば、精神病とも思える美少女による連続殺人。しかし、現代の目で見ればドヌーヴ演じる主人公を単にサイ>>続きを読む

マイ・エレメント(2023年製作の映画)

3.9

2023/07/17 1回目 CGV江南
【2023年87本目】

2023/11/10 2回目 吹替

aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

4.1

少し前にSNSで物議を醸した映画の倍速視聴。その視聴スタイルの要因の一つに、"結末が早く知りたい"という時間に追われる現代人の苦肉の策という側面がある。一方で作り手は、視聴者のリテラシーを鑑みて、台詞>>続きを読む

スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース(2023年製作の映画)

4.1

生粋の"アメコミ映画"の金字塔として一世を風靡した前作『スパイダーバース』を凌駕する圧倒的情報量と熱量を詰め込んだ渾身の続編。

やはり「スパイダーマン」という共通認識があるこの時代においてやっと成り
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女神の継承(2021年製作の映画)

3.7

ナ・ホンジン原案・プロデュース。
タイを舞台に祈祷師の一家への密着取材のテイをとったモキュメンタリー。

美女とホラーの系譜は古くから存在しますが、今作のナリルヤ・グルモンコルペチはちょっと美しすぎる
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怪物(2023年製作の映画)

4.0

予告で耳にタコができるほど聞いた「怪物だーれだ?」。"怪物"の正体を突き止めに映画館へと向かった。しかし、この映画が提示するのは"怪物"の正体どころか、その不在だ。

ざっくり区切ると三幕構成に納まる
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クリード 過去の逆襲(2023年製作の映画)

3.7

メイドインジャパンなアニメ的ケレン味を感じさせるアクション。その要因は主演マイケル・B・ジョーダンがメガホンを取ったことにある。方々のインタビューで、彼は日本のアニメが好きだと公言している。

今作の
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ワイルド・スピード/ファイヤーブースト(2023年製作の映画)

3.8

ジャスティン・リンの監督降板、ロックとヴィンの確執等々の不安要素を抱えた今作は、結果として「ワイスピ」シリーズらしい作品に落ち着いたのではないでしょうか?

所謂、「家系映画」として揶揄されがちなシリ
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マイ・プライベート・アイダホ(1991年製作の映画)

3.7

ガス・ヴァン・サント、ポートランド三部作の締めくくりは男娼の青年たちの物語。

ナルコレプシーを持つマイクは仕切りに、自宅で母親らしき人物と過ごす夢を見る。金持ちの御曹司スコットは21歳の誕生日に父親
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ラストエンペラー(1987年製作の映画)

4.0

清朝最後の皇帝・溥儀の人生、それはとてもとても悲しい"囚われの身"の一生。

"Open the door !"

紫禁城、満洲国、戦犯刑務所で仕切りに繰り返されるこの台詞によって反復する、閉じ込めら
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ブルース・リー/死亡遊戯(1978年製作の映画)

3.8

ブルース・リー急逝のため未完に終わった原案『死亡的遊戯』の一応の完成品。故に遺作となった今作はこれまでの出演作からモンタージュ式に切り抜かれたリーの映像で保管される形で構成されています。

ラスト20
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イルマ・ヴェップ(1996年製作の映画)

3.7

言わずと知れた、当時のフランスの大人気映画『吸血ギャング団』のリメイクを行うことになった撮影チームとイルマ・ヴェップ役に抜擢された香港女優マギーが監督に振り回される。

落ち目の監督役にジャン=ピエー
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