otomさんの映画レビュー・感想・評価 - 7ページ目

otom

otom

映画(2803)
ドラマ(3)
アニメ(0)

ルキノ・ヴィスコンティの世界(2008年製作の映画)

4.2

ミラノの実家が社交界の中心で、トスカニーニが音楽監督をしていたって云う出だしからしてボン助レベルが違う。で、本格的に監督業やる前の交友のビッグネームな面々がまた半端ない。『郵便配達~』以外の未見初期も>>続きを読む

チャイナ・ガール(1987年製作の映画)

4.0

カルツォーネと中華饅頭の戦いって事で、『ウエスト・サイド物語』がやりたかったのは良く分かる。『バッド・ルーテナント』が好き過ぎてアベル・フェラーラってだけで期待値が上がってしまうものの、これに関しては>>続きを読む

宋家の三姉妹(1997年製作の映画)

4.0

題材的には文句なしに壮大な中国近代史を壮大風にした感じ。宋家の姉妹と革命に殉じた男達で分割されまくっている為か、全体的にはいまいち焦点が定まっていない印象。で、党内部的にも時代的にも最後の最後で掻っ攫>>続きを読む

すぎ去りし日の…(1970年製作の映画)

5.0

現場検証映画。のっけのラウンジなテーマからして凄く好きだと思ったら『最後の晩餐』作曲の人だった。単たる逆回転→スロー→標準の演出なのに、この順番でやるからこそなドラマチックさ。おまけに視点やらの構図や>>続きを読む

レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ(1989年製作の映画)

5.0

15年振りくらい。肉食うマネージャーに玉葱齧る民衆って事で、かの国の縮図みたいなトンガリと黒服を着た連中(まだサンクトペテルブルクじゃない)の真っ黒なユーモア。ツンドラゾーンからどうしたって南へ向かわ>>続きを読む

ストリーマーズ/若き兵士たちの物語(1983年製作の映画)

5.0

人間表面張力みたいな具合でハラハラする。なんの変哲もない兵舎を舞台とした会話劇でありつつ、最後まで上手い感じに恐怖からなる緊張を保つ。例えば『フルメタルジャケット』のほほ笑みデブの様に分かりやすい狂気>>続きを読む

アニマル・ファクトリー(2000年製作の映画)

4.5

天国の僕より地獄の王の方がイイしと強がっているものの、色々と無念なウィレム・デフォー劇場。まだギリギリラブリーフェイスを保ってる頃のエドワード・ファーロングで父性愛ゲットと監獄生活の穴問題的なやつを死>>続きを読む

マルチプル・マニアックス(1970年製作の映画)

5.0

ディヴァインのキャラだけで既に成立してる。序盤の永久機関男やらロザリオ・プレイなんて可愛いもんで、悪夢級ロブストーラとか最後の追いかけるやつとか超怖い。『今や狂人になったわ!』と元々狂人じゃなかったみ>>続きを読む

ラ・ファミリア(1987年製作の映画)

4.8

80年を超えるOPEDのファミリーフォトに、いつの時代も人が行き来する廊下の徹底した描写とで、なんだか走馬灯の様でこっちにも老いが伝染してくるほどの出来。同じ階段や同じ場所、同じ天気の演出もまた上手い>>続きを読む

彼岸花(1958年製作の映画)

4.8

小津作品の初天然色って事でちょっとイキり気味な配色のOPから。封建時代の終焉みたいな感じで佐分利信ほか男連中が女に子供にしてやられてる感じ。大昔に観て朧気な内容も、同年代の今となっては境遇は違えどなか>>続きを読む

美女と野獣(1946年製作の映画)

5.0

黒板に直筆タイトルバック→カチンコ→『ひらけ、ゴマ』からして最高。オッサンが中に入ってそうな燭台やらのスマート家電描写が圧倒的だな。技術と頭を捻って生み出された数多の人力マジカル表現ってものは年月を経>>続きを読む

真夜中の虹(1988年製作の映画)

5.0

終始曇天模様の中で展開されるかの国の過酷な労働者とそのお伽話ってな具合。無用の長物を乗り回し南へ向かう不器用さからしてたまらん。で、主人公を落ちるとこまで落として悲惨な状況にしてからサラッと『悲愴』を>>続きを読む

神田川(1974年製作の映画)

4.3

日本のジョン・デンバーこと南こうせつ天才的だなと思いきや、作詞は別だったのね。ヒットに乗っかって制作+主演の2人がスーパー美男美女なので三畳一間的世界にしてはなかなか華やか。夏から始まり冬で終わる逆か>>続きを読む

チャイナタウン(1974年製作の映画)

5.0

昨年の暮れに観ていた『ジ・オファー』の流れでボブ・エヴァンスもの。15年振りくらい。LAの水利権が絡むベースの筋の規模は派手なものの、なんか地味、なんだけど、ジョン・ヒューストンの常人には理解できない>>続きを読む

赤い殺意(1964年製作の映画)

5.0

15年ぶりくらい。『エロ事師たちより』、『にっぽん昆虫記』同じくらい好き。すなねば(死なねば)と言った側からモリモリ食う春川ますみからして最高。妾の子としての生まれからして徹底的に弱者設定の女。そんな>>続きを読む

地下室のヘンな穴(2022年製作の映画)

4.7

ちょうど良い塩梅なSF(少しふしぎ)感。穴繋がりでマルコヴィッチっぽくもある。当たり前な人生の教訓ってやつがなかなかに盛り込まれてる。で、身体と車でショートしがちな社長が瞬間風速含めてかなりおいしいん>>続きを読む

PIG ピッグ(2021年製作の映画)

5.0

先日の『DAU.』のお陰で豚は今は無理って感じだったんだけど、サムネ見た瞬間にビビビと来て鑑賞。始まった瞬間から傑作の予感しかしないって部類のやつ。ニコラス・ケイジに豚ちゃんに森に小屋に料理にと好きな>>続きを読む

パラダイスの夕暮れ(1986年製作の映画)

5.0

久々なカウリスマキのこの感じが心地よい。オケラ、アメンボでも『毎日イモ』レベルでも一生懸命に生きているな。単純な筋でありながらも、シーン前後の捻りとか瞬間胸キュンなんかをさりげなく且つ、無駄なく連投し>>続きを読む

DAU. 退行(2020年製作の映画)

5.0

恐露4の2作目にして割とあっと云う間の6時間ちょい。プラハの春を横目に自由と抑圧の間で激しく(KGB的に)揺れ動く時代に物語の舞台は進む。ある人が言う『自由』がある人には『退化』となる、そんなご時世で>>続きを読む

DAU. ナターシャ(2020年製作の映画)

5.0

恐露。全体主義の中にあれば人間の尊厳などどこ吹く風って具合。画面の内外問わずに再現したソ連時代のあれやこれの数々、元KGBの演技が有難迷惑な域に達している。『ドッグヴィル』なんかで味わう胃の痛さと人間>>続きを読む

十代 恵子の場合(1979年製作の映画)

4.2

テンション低めに急転落して行く森下愛子(頑張っているな!)が良くないと多分全然良くないんだろう。割と普通に生息してる'79年当時のツッパリ事情と渋谷〜原宿辺りの風景とでなかなか楽しい。ただでさえ眩しい>>続きを読む

脱獄の掟(1948年製作の映画)

4.7

狂言回しを弱い立場の方の女にさせるのがまず良い。大筋から三角関係に至るまで『ひどい扱い』ってのがあちこちに設定されていて、その上で非情さと誠実さが入り乱れてるから、逃亡がスムーズに行かずに映画が面白く>>続きを読む

TENET テネット(2020年製作の映画)

4.4

久々にドゥーンって感じな効果音の映画観た。始まった瞬間に平和です(爆)って事で、ただでさえややこしい祖父殺しのパラドックスのテーマを元にしつつ、逆転正転を駆使しながらきちんとエンタメ様式を遵守して仕上>>続きを読む

ゴンドラ(1987年製作の映画)

4.8

ゆらゆら漂うゴンドラと小舟な如く東京で生きる少女と青年。あの手この手な人力エフェクト、時折挿入される松本俊夫みたいなサイケな映像、廃墟萌え、児ポギリギリ(限りなくアウト)のとこを絶妙な感じで狙う少女の>>続きを読む

マダムと泥棒(1955年製作の映画)

5.0

序盤からの伏線の数々が綺麗に回収される。全方向から年寄り扱いされるヨボヨボさんでありつつ、見せ方を統一した最初と最後の落差が絶妙。英国的な画面のトーンとアイロニカルなあれやこれでかなり好み。発狂寸前な>>続きを読む

LAMB/ラム(2021年製作の映画)

4.2

夕飯がラムカレーだったのは偶然偶然。禁忌に触れる者のあれやこれって事で日本の昔話っぽくもある。羊なのにギョギョギョな出産シーンで、夫婦が互いに『こいつまさか...』と疑心暗鬼にならないのが一番ファンタ>>続きを読む

機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島(2022年製作の映画)

4.5

作画崩壊回をなかった事にした(したい?)レベルなクオリティの高さではある。話も綺麗にまとまってるし、普通に面白いは面白い。なものの、白い奴に、ホワイトベースの面々、ファーストの劇伴を流す演出等々でおお>>続きを読む

メトロポリス 完全復元版(1926年製作の映画)

5.0

何故だか25年振りくらいに再燃のQueenのマイブームからの鑑賞。『頭脳と手の媒介者は心でなければならない』と云う機械文明と人間の在り方を一行で表す時点で素晴らしい。そんな一行にとどまることなく、壮大>>続きを読む

男はつらいよ 知床慕情(1987年製作の映画)

4.8

久々。瀕死のおいちゃんの一幕から始まり、キリギリス扱いの寅次郎って事で、アウェイで好遇されるのは毎度の事ながら、ホームでは何やらいつもより冷遇されてる風な38作。で、岡山の寺の娘だった竹下景子が知床の>>続きを読む

七人の侍(1954年製作の映画)

5.0

云うまでもなく傑作。アメリカ産の方とは事の発端となる根深い農民、侍、野武士の問題も志村喬が助太刀しようって気になるあたりも描かれ方の丁寧さが全然違う。で、それぞれキャラ設定は良くできてるけど、キノコ採>>続きを読む

荒野の七人(1960年製作の映画)

5.0

久々。本家を良い感じにパクってると云うかリスペクトしてると云うかって具合なんだけど、きっちりクオリティが高いから凄い。志村喬ことユル・ブリンナーから始まってキャラ的にも本家を踏襲してる部分とオリジナル>>続きを読む

ブライアン・ウィルソン/約束の旅路(2021年製作の映画)

5.0

最も尊敬するアーティスト3人の中の1人、ブライアン・ウィルソン様のドキュメンタリーって事だけで5点上げちゃう。辿ってきた歴史の痛々しさに加えて、現在も続く不安定さと終始モゴモゴしてる感じなお爺ちゃん具>>続きを読む

ビキニの裸女(1952年製作の映画)

4.0

B.B.のデビュー作ってのと、常時ツッコミ待ちみたいな邦題に釣られて鑑賞。びっくりするほどクオリティの低い海洋トレジャーハントもので、おまけに全体的にフィルムコンディションが悪く、常に何やらガスガス鳴>>続きを読む

タワーリング・インフェルノ(1974年製作の映画)

5.0

30年振りくらい。消防士に設備屋歓喜なパニック映画の金字塔な具合で、ボヤから始まり最後の爆破までハラハラドキドキの連続で実に良く出来てる。開始1時間くらいで登場する貫禄のマックィーンとポール・ニューマ>>続きを読む

惜春鳥(1959年製作の映画)

4.8

青春の頃のズッ友宣言は儚い。友と風呂場で語らう図等々、白虎隊の地にして何やらゲイな雰囲気に包まれている。青春の残像と社会と云う名のあらゆる障害、汚なさを受け始める津川雅彦たちと、荒波を食らった後の佐田>>続きを読む

ルシアとSEX(2001年製作の映画)

5.0

ド直球なタイトルを裏切らない。超いいオンナなパス・ベガ(後にランボーに出てる)が惜しげもなく脱ぎまくっていて、序盤は猿の如き濡れ場だらけ(構図がキメキメ)でスゴい。おっほーとなるも束の間、くどすぎて先>>続きを読む