otomさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

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ザ・ベイビー/呪われた密室の恐怖(1972年製作の映画)

4.5

キモいオッさんベイビーで出オチと思いきや、なかなか先の読めない展開で面白かった。義母の背景の鉈とかプール工事とかも綺麗に活かされている。狙ったのかどうなのか、女性側の役者が全員なんか不穏感じなの(特に>>続きを読む

プロヴァンス物語/マルセルのお城(1990年製作の映画)

5.0

出来の良い1作目の上を行ってる感じ。エンドレス・サマーな雰囲気でありながら、時の移り変わりをしっかり描く。少年時代の輝かしい記憶は永遠でないからこそより美しく、更には暗い時代を経て再び記憶を呼び覚ます>>続きを読む

プロヴァンス物語 マルセルの夏(1990年製作の映画)

4.8

フランス人のヴァカンスにかける情熱っぷりが好き。大人は大体駄目人間ってのを知る前の、目にする全てが輝いてる感覚が存分に表現されとる。初めての体験のあの感じを遠い昔に置いてきて、観てる方としちゃ少し悲し>>続きを読む

やくざ絶唱(1970年製作の映画)

4.8

大谷直子の謎思考回路が確かに後の松本千秋っぽい。いやよ嫌よで好きオーラ全開でありつつで、勝新以外のあっちこっちに桃色の何か振りまくヘンな妹感が堪らん。浴衣で来ましたわなんてシーンはツィゴイネルワイゼン>>続きを読む

アニエスによるヴァルダ(2019年製作の映画)

4.8

アニエス・ヴァルダ遺作にして、充実したセルフ・ポートレート作品となっている。やる事なす事が無形文化遺産そのものって感じ。観てないのもちょいちょいあるけれども、『ひらめき』『創造』『共有』のもとに生み出>>続きを読む

ラスト・シューティスト(1976年製作の映画)

5.0

往年の作品を列挙したOPからして素晴らしい。からの1901年1月の20世紀幕開けの設定で余命宣告を受ける所から映画が始まる。古い西部劇の時代に自らケリをつけるみたいな内容で胸が熱くなる。生まれて初めて>>続きを読む

ニュー・エイジ(1994年製作の映画)

4.0

ビデオよりレーザーディスクは素晴らしいってやつをネットの配信で観てる。バブル世代的な脳死具合で、そこから君たちはどう生きるかとなる。人に誇れる仕事と金を稼ぐは別問題で、更にはスピリチュアルなあれやこれ>>続きを読む

殺し屋(1956年製作の映画)

4.5

ヘミングウェイ原作ながらもソ連の若者の鬱屈とした雰囲気がそこかしこに漂ってる。閉鎖空間を舞台にこの町にいたら殺されると思う奴に、もう少ししたら頑張るとソフトに死んでる奴とでお国柄を表現しまくってる。荒>>続きを読む

若き仕立屋の恋 Long version(2004年製作の映画)

5.0

やっぱりこの湿度だわな。コン・リーには全然萌えないのに、映画自体のエロティック感は100%振り切ってる。鏡越しから始まって、交わらない視線、部分的描写の展開に加えてあの魅力的な色味の60年代の香港の雰>>続きを読む

楢山節考(1983年製作の映画)

5.0

木下恵介版が観たかったけど無かったので、15年振りくらいに鑑賞。運転免許を自主返納できるタイプな坂本スミ子みたいな人ばっかりなら、この世はきっと今よりもっと優しい世界になるだろう。って事で、今平的ドキ>>続きを読む

さらば青春の光(1979年製作の映画)

4.7

実に30年振りくらい。当時は自分がってより(アーミージャケットは着てた)周りにモッズが多かったけども、確かにみんなお洒落さんだったわ。梅ヶ丘の〜とか津田沼の〜とかのテーラーで仕上げる気持ちが今なら分か>>続きを読む

肉体の門(1964年製作の映画)

4.8

宍戸錠の『クッソー、いい身体してやがる...』が観たくて15年振りぐらい。戦争から生き残っても戦争の記憶を引きずり、戦後の混乱の中でも生きていかにゃならんって事でみんな汗ばみつつタフだわな。食うか食わ>>続きを読む

マイ・ブルーベリー・ナイツ(2007年製作の映画)

4.7

湿気のないウォン・カーウァイな具合。映像は勿論の事、話の展開や哀しい過去持ちさん同士のいささか感傷的な会話など舞台が変わってもまんまな感じの安定感。キャラ設定なんかも良くも悪くも大体おんなじタイプが出>>続きを読む

愚か者 傷だらけの天使(1998年製作の映画)

4.8

とりあえず頭に『傷天』つける必要はない。見渡す限りの90年代臭で、フロムA片手な駄目人間環境がノスタルジー。愚か者演技で味を出しまくるイリーガル真木蔵人が1人でバンバン引っ張りつつ、大楠道代他のスパイ>>続きを読む

続・激突!/カージャック(1974年製作の映画)

5.0

隅々まで見せ方が上手い感じで、劇場デビューにして既に完成されてる。圧倒的な数珠繋ぎ状態のパトカーで、数が正義な理論を若くして獲得してるスピルバーグ。視覚的に内容的にもきっちりエンターテイメントしつつ、>>続きを読む

セールスマンの死(1951年製作の映画)

5.0

先に'85年のフォルカー・シュレンドルフの方を観ていたけれども、戯曲ベースの為にセットの感じなんかも含めて大体おんなじ具合な安定感。きっと何者にもなれない人が抱く夢の弊害を一手に引き受けたかの様な主人>>続きを読む

劇場版 RE:cycle of the PENGUINDRUM [後編] 僕は君を愛してる(2022年製作の映画)

5.0

前編で回避してた1話冒頭のネタバレ概要が後編の冒頭に来てた。苹果の計算式を分かりやすくってよりは、桃果パート+盛りすぎCGとその他のクドめな補足って具合で別にあってもなくても良い気が...。追加ARB>>続きを読む

スキャンダル・愛の罠(1985年製作の映画)

4.8

オッサンの身から出たサビも側から見てると結構楽しそう。まぁでも劣化したラウラ・アントネッリよりは娘一択な具合。母親の執念深さの遺伝が段階を経て表に出て、更に上行く感じで面白い。オチがどうこうより、そっ>>続きを読む

春婦傳/春婦伝(1965年製作の映画)

5.0

こちらも四半世紀ぶり。国家に仕える者たちの砂塵と荒廃の青春で、まぁ國は信用できんよなって云う。兵隊の鏡みたいな融通のきかない川地民夫を、あの手この手でどやしつける肉食系乙女な野川由美子の図。裸体から始>>続きを読む

すべてが狂ってる(1960年製作の映画)

4.8

このところ、20年くらい前に清順レトロスペクティヴで観た日活時代ものばっかり観てるけど、やっぱりどれも面白い。日本が、新宿が、葉山がほとばしってて、その熱量だけでクラッと来る。筋としては戦中と戦後派の>>続きを読む

マルケータ・ラザロヴァー(1967年製作の映画)

4.7

今も昔もそう変わらんって具合。時代背景も相まって『アンドレイ・ルブリョフ』や、はたまた別宇宙の『神々のたそがれ』級な蛮族っぷり。キリスト教も異教も神は平等に恩寵を『与えない』って云うこの世界の永遠のテ>>続きを読む

悪太郎(1963年製作の映画)

5.0

刺青一代のチャキチャキがベストなものの、はいからさんな和泉雅子が見たくて。ベタな悲恋もよりベタでありつつ、更にはそこかしこに清順をきっちり感じさせ、大正浪漫具合も既に完成されてる具合。で、東京流れ者あ>>続きを読む

機動警察パトレイバー THE MOVIE(1989年製作の映画)

5.0

一から十までクオリティ高過ぎ。PC普及前夜にしてトロイの木馬とかMITとか言ってる時点で進んでる。そんなのをほぼアナログなアニメーションでやってる訳だけども、光の反射なんかの細かいとこから始まり演出力>>続きを読む

白痴(1945年製作の映画)

4.5

イッポリートの告白をガッツリ端折るのは仕方ないとしても、展開がファスト映画級の爆速っぷり。こうしてみると割と忠実(やっぱり端折ってるけど)に作ってる黒澤版は、監督と役者(特に那須妙子)共にクオリティが>>続きを読む

レニングラード・カウボーイズ、モーゼに会う(1994年製作の映画)

4.5

15年振りくらい。食い物に不平を言うメンバーとの関係性で独裁者から荒野を経てモーセとなったペロンパー。図式は何も変わってないんだけど、しっかり水上を歩く。ソ連崩壊前の前作から崩壊後の2作目って事で、こ>>続きを読む

小原庄助さん(1949年製作の映画)

5.0

耳にした事のある『会津磐梯山』の歌詞の中の人の話。「朝寝朝酒朝湯が大好きでそれで身上潰した〜♪」とセルフ没落しつつ、パラメータが徳に振り切ってて人間としては勝ってる劉備玄徳みたいなタイプ。なんだけど、>>続きを読む

ヴェルヴェット・アンダーグラウンド(2021年製作の映画)

5.0

ビートな面々にラ・モンテ・ヤングにトニー・コンラッド等々、序盤に関わった偉人率が異常。3枚目以降に各自ソロに"SONGS FOR DRELLA"などどれも素晴らしいものの、最初の2枚は魔力レベルがちょ>>続きを読む

ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地、ジャンヌ・ディエルマン/ブリュッセル1080、コルメス3番街のジャンヌ・ディエルマン(1975年製作の映画)

5.0

生活全般が完璧風でありながら、ドアがキィキィ言ってたり雑な所がチラホラある加減が絶妙な初期設定。人間性を殺して機械的にしたところで結局人間な様子。で、思えば序盤の「糸がない」と『エリーゼのために』の展>>続きを読む

私、君、彼、彼女(1974年製作の映画)

5.0

画面に砂糖に私の胸中にと、とにかくザラザラしてる。私の奇行的なまでの色んな飢え、それを傍観するこちら側(多分)との共感するには難しい距離感。からのプレイに始まり色々薄まった感じの小さいマーロン・ブラン>>続きを読む

醜い奴、汚い奴、悪い奴(1976年製作の映画)

5.0

『続・夕陽のガンマン』をパロったみたいなタイトルで、『どですかでん』の極彩色を省いて極限まで酷くした具合。底辺だから子供が多いのか、はたまたその逆か、意識が低い方に全力で舵をきってる感じ。で、守銭奴か>>続きを読む

愛と殺意(1950年製作の映画)

4.6

言う事とやる事が違う腐れ女って事で、デビュー作から愛の不毛してるアントニオーニ。尾行されてるとは思えない程に常に派手な格好をする勝ち組ルチア・ボゼーに、全然パッとしないマッシモ・ジロッティのブルジョワ>>続きを読む

夜の子供たち(1996年製作の映画)

4.8

まずはダニエル・オートゥイユの劇中の生き様からして銭形みたいで、劇中の人間が誰かしらに心を奪われていると云う。色んなタイプの泥棒が錯綜し眠り姫ことドヌーブ様の隠し撮りまで出てくる細やかさ。人の心の成り>>続きを読む

天国で殺しましょう(2001年製作の映画)

4.8

サシャ・ギトリの元のやつより先に観ちゃった。普通に面白いんだけども、表面的な筋とオチだけ見ると、全然綺麗に話がまとまってない感じで余計に面白い。物事の表面だけで判断する危うさと人々の盲目具合によって成>>続きを読む

雪夫人絵図(1950年製作の映画)

5.0

相手の心を計りきれないが故の人生のままならなさ。やりたい放題の柳永ニ郎にいぢめられ、能面の下で悦ぶ旧華族役の木暮実千代。を、どうにもできない現代イ⚪︎ポ系男子役な旧華族の本物ボンスケ上原謙(美男過ぎ)>>続きを読む

ティコ・ムーン(1997年製作の映画)

4.7

懐かしい感じの'90年代渋谷的雰囲気SF感。雑コラみたいな背景やらでも人間は脳内補完できるんだってレベル(当時は最先端)で、CGでクオリティ上げてく現在とは全く違った趣きがある。『バンカー・パレス・ホ>>続きを読む

フェイブルマンズ(2022年製作の映画)

4.8

一歩間違えば恵まれた他所ん家のホームムービーを見せられてる気分なりかねないけど、キッチリしっかり面白く作る流石なスピルバーグ。カメラ越しに暴かれる良い事と悪い事の洗礼を受けて、それでも尚その道を行く割>>続きを読む